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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻11号

2007年11月発行

文献概要

私のくふう

高機能寒天を用いたリゾチームの測定

著者: 太田英孝1 林芳和1 林俊治2

所属機関: 1自治医科大学内科学講座消化器内科学部門 2自治医科大学感染免疫学講座細菌学部門

ページ範囲:P.1263 - P.1264

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1.目的

 リゾチームは細菌の細胞壁を分解することで溶菌反応を起こす酵素であり,その測定は単球性白血病などの診断に有用である.Lysoplate法は寒天内における分子拡散を利用したリゾチーム測定法である1).加熱死菌を含む寒天平板に小さな孔を空け,リゾチームを含む試料を孔に入れると,その周囲に円形の透明領域(溶菌円)が形成される.この円の直径からリゾチームを測定する.本法は測定範囲が広く,手技も簡単だが,欠点も持つ.本法で用いる1%寒天は強度が不十分で,試料孔の形が崩れやすい.孔の形が崩れると,溶菌円は正円形にならず,測定値が不正確になる.また,溶菌円の直径とリゾチーム濃度の対数が相関するため,直径測定時の小さな誤差がリゾチーム濃度の大きな誤差になる.

 一方,高い強度と分子移動効率を併せ持つ高機能寒天が電気泳動用に販売されている.この高機能寒天をLysoplate法に用いたところ,良好な結果が得られたので報告する.

参考文献

1) Osserman EF, Lawlor DP:Serum and urinary lysozyme(muramidase)in monocytic and monomyelocytic leukemia. J Exp Med 124:921-952, 1966
2) Mancini G, Carbonara AO, Heremans JF:Immunochemical quantitation of antigens by single radial immunodiffusion. Immunochemistry 2:235-254, 1965

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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