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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻11号

2007年11月発行

文献概要

海外文献紹介

長期凍結保存中の尿アルブミンの見かけの喪失:HPLC法と免疫比濁法との比較

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部

ページ範囲:P.1179 - P.1179

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 尿アルブミンの測定は患者の看護や疫学研究などで用いられるが,その際尿試料はしばしば凍結保存される.免疫比濁法により検出された尿蛋白質は-20℃で凍結された試料では30%低下する.この免疫比濁法に代わり,免疫反応性および免疫非反応性のアルブミンを検出できる尿アルブミン評価のためのHPLC法が導入された.著者らはこの方法が試料保存温度,特に凍結により影響されるかどうかについて検討した.尿試料は295例を採取し,新鮮尿,-20℃で4,8,12か月保存後の尿および,-80℃で12か月保存後の尿アルブミンを免疫比濁法およびHPLC法により測定した.免疫比濁法の測定では,平均値は-20℃で4,8,12か月保存後の尿でそれぞれ21%,28%,34%低下し,-80℃で12か月保存後の尿で5%低下した.HPLC法の測定では,平均値は-20℃で4,8,12か月保存後の尿でそれぞれ33%,43%,55%低下し,-80℃で12か月保存後の尿で29%低下した.尿凍結後のアルブミンの喪失は凍結温度だけでなく,検出方法にも依存していた.凍結の影響はHPLC法のほうが大きく,-80℃保存尿であれば,免疫比濁法が適用できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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