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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター 2.解析技術 B.検査技術 c.染色体・ゲノムレベル

1) 染色体検査

著者: 松田和之1 日高惠以子1

所属機関: 1信州大学医学部付属病院臨床検査部

ページ範囲:P.1319 - P.1325

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染色体と染色体検査法

 染色体は細胞周期の分裂期に,光学顕微鏡によりこん棒状に観察することができるDNAと蛋白質の複合体で,塩基性色素に染まる.ヒト体細胞の染色体は46本で,22対の常染色体(1番から22番染色体)と2個の性染色体(X,Y)からなっている.遺伝情報単位であるゲノムは,配偶子に含まれる23本の染色体のセット(ハプロイド)を指し,そこには3×109(30億)塩基対のDNA,約3万個の遺伝子が存在している.ヒトゲノムは直線上に伸ばすと約1mにもなり,分裂期の染色体では約1万倍も凝縮されて存在している.

 ヒト染色体は,その形態と大きさからA群(1~3番),B群(4,5番),C群(6~12番,X),D群(13~15番),E群(16~18番),F群(19,20番),G群(21,22番,Y)の7グループに識別することが可能で,着糸点の位置から中部着糸型(1,3,16,19,20番),次中部着糸型(2,4~12,17,18,X),端部着糸型(13~15,21,22,Y)の3つのタイプに分類される.さらに,染色体を垂直方向に縞模様に染め分ける分染法を施すことにより,その特徴的なバンドパターンから個々の染色体を同定することができる.

参考文献

1) 奈良信雄,池内達郎,吉田光明,他:遺伝子・染色体検査学,医歯薬出版,pp65-116, 2002
2) Shaffer LG, Tommerup N:An International System for Human Cytogenetic Nomenclatur, S. Karger, Basel, 2005
3) Matsuda K, Hidaka E, Ishida F, et al:A case of acute myelogenous leukemia with MLL-AF10 fusion caused by insertion of 5´ MLL into 10p12, with concurrent 3´ MLL deletion. Cancer Genet Cytogenet 171:24-30, 2006
4) Kobayashi N, Matsuda K, Sakashita K, et al:Bilineage acute leukemia of T-lymphoid and myeloid lineages. Haematologica 89:1139-1141, 2004
5) 下條康代,松田和之,今泉雅之,他:ホルマリン固定―パラフィン包埋組織におけるHER2-FISHの検討.病理技術 68:79-81, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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