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特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター 3.遺伝子診断の実際
7) 血色素異常
著者: 服部幸夫1 山城安啓1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科保健学専攻病態検査学講座
ページ範囲:P.1439 - P.1443
文献購入ページに移動成人の大部分のヘモグロビン(Hb)はαグロビン,βグロビンの各2分子ずつからなる四量体である(α2β2).グロビンのアミノ酸配列の異常によって異常Hb(abnormal hemoglobin)が,一方のグロビンのみの産生不良によってサラセミア(thalassemia)が生じる.これを合わせて血色素異常症(hemoglobinopathy)と称している.異常Hbは不安定性による溶血,高酸素親和性による多血症,低酸素親和性あるいはHbM症によるチアノーゼが約30%の異常Hbでみられる(症候性).しかし,多くの異常Hbは臨床的には無症候性である.異常Hbは常染色体優性を示す.サラセミアはα,βグロビンの産生不良をそれぞれα,βサラセミアと称する.小球性赤血球を特徴とする常染色体劣性の溶血性疾患である.β+,α+サラセミアは当該染色体から幾分かグロビンが産生されるが,β0,α0サラセミアでは全く産生されない.日本人に多いヘテロ接合体(軽症型)では,小球性赤血球症がみられるのみで溶血はない.
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