icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター 3.遺伝子診断の実際

7) 血色素異常

著者: 服部幸夫1 山城安啓1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科保健学専攻病態検査学講座

ページ範囲:P.1439 - P.1443

文献購入ページに移動
はじめに

 成人の大部分のヘモグロビン(Hb)はαグロビン,βグロビンの各2分子ずつからなる四量体である(α2β2).グロビンのアミノ酸配列の異常によって異常Hb(abnormal hemoglobin)が,一方のグロビンのみの産生不良によってサラセミア(thalassemia)が生じる.これを合わせて血色素異常症(hemoglobinopathy)と称している.異常Hbは不安定性による溶血,高酸素親和性による多血症,低酸素親和性あるいはHbM症によるチアノーゼが約30%の異常Hbでみられる(症候性).しかし,多くの異常Hbは臨床的には無症候性である.異常Hbは常染色体優性を示す.サラセミアはα,βグロビンの産生不良をそれぞれα,βサラセミアと称する.小球性赤血球を特徴とする常染色体劣性の溶血性疾患である.β,αサラセミアは当該染色体から幾分かグロビンが産生されるが,β0,α0サラセミアでは全く産生されない.日本人に多いヘテロ接合体(軽症型)では,小球性赤血球症がみられるのみで溶血はない.

参考文献

1) Steinberg M, Forget BG, Higgs DR, et al:Disorders of Hemoglobin, Cambridge University Press, Cambridge, 2001
2) 岡山直子,服部幸夫:異常ヘモグロビンの検出法.検査と技術 28:818-819,2000
3) 服部幸夫,原野昭雄:ヘモグロビン(Hb)の検査.三輪 血液病学(浅野茂隆,内山卓,池田康夫編),文光堂,pp1922-1933,2006
4) 服部幸夫:診断と治療の進歩,ヘモグロビン異常.日内会誌 88:1010-1015,1999
5) 服部幸夫,原野昭雄:本邦臨床統計集(1)異常ヘモグロビン血症およびサラセミア.日本臨牀59(増刊号7):437-451,2001
-thalassemia with a 27kb deletion. Hemoglobin 29:197-208, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?