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特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター 3.遺伝子診断の実際
10) ミトコンドリア病
著者: 康東天1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野
ページ範囲:P.1453 - P.1457
文献購入ページに移動ミトコンドリアゲノム,ミトコンドリア病とその遺伝子検査の詳細ついては他の総説を参照されたい1~6).
ミトコンドリア病とは
ミトコンドリアの主要な働きの1つが酸化的リン酸化による好気的なATP(adenosine 5´-triphosphate)合成であることは周知のことであるが,ミトコンドリアはそれに加え,脂肪酸酸化,リン脂質の合成,ステロイドホルモンの合成,ヘムの合成,細胞内カルシウム濃度の調整など非常に多くの代謝に関与しているのみならず,アポトーシスという細胞死にも中心的役割を果たしている.広義にはそれらミトコンドリアのどの働きが障害されても,ミトコンドリア病であるが,臨床の現場では,ミトコンドリアでのATP産生能の低下に起因する病態を狭義にミトコンドリア病と称している.狭義のミトコンドリア病のなかで3大病型と呼ばれるものが約70%を占める(表1).
ミトコンドリア病とは
ミトコンドリアの主要な働きの1つが酸化的リン酸化による好気的なATP(adenosine 5´-triphosphate)合成であることは周知のことであるが,ミトコンドリアはそれに加え,脂肪酸酸化,リン脂質の合成,ステロイドホルモンの合成,ヘムの合成,細胞内カルシウム濃度の調整など非常に多くの代謝に関与しているのみならず,アポトーシスという細胞死にも中心的役割を果たしている.広義にはそれらミトコンドリアのどの働きが障害されても,ミトコンドリア病であるが,臨床の現場では,ミトコンドリアでのATP産生能の低下に起因する病態を狭義にミトコンドリア病と称している.狭義のミトコンドリア病のなかで3大病型と呼ばれるものが約70%を占める(表1).
参考文献
1) Beal MF:Mitochondria take center stage in aging and neurodegeneration. Ann Neurol 58:495-505, 2005
2) Kang D, Hamasaki N:Maintenance of mitochondrial DNA integrity:repair and degradation. Curr Genet 41:311-322, 2002
3) Kang D, Hamasaki N:Mitochondrial DNA in somatic cells:A promising target of routine clinical tests. Clin Biochem 38:685-695, 2005
4) Kang D, Hamasaki N:Alterations of mitochondrial DNA in common diseases and disease states:aging, neurodegeneration, heart failure, diabetes and cancer. Curr Med Chem 12:429-441, 2005
5) Kang D, Hamasaki N:Mitochondrial disease:maintenance of mitohondrial genome and molecular diagnosis. Adv Clin Chem 42:217-254, 2006
6) Schapira AH:Mitochondrial disease. Lancet 368:70-82, 2006
7) Urata M, Wada Y, Kim S, et al:High-sensitivity detection of the A3243G mutation of mitochondrial DNA by a combination of allele-specific PCR and peptide nucleic acid-directed PCR clamping. Clin Chem 50:2045-2051, 2004
8) Samuels DC, Schon EA, Chinnery PF:Two direct repeats cause most human mtDNA deletions. Trends Genet 20:393-398, 2004
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