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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター 3.遺伝子診断の実際

12) 感染症 (4)サイトメガロウイルス(CMV)

著者: 豊川真弘1 西功1 浅利誠志2

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院臨床検査部 2大阪大学医学部附属病院感染制御部

ページ範囲:P.1482 - P.1487

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はじめに

 サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus;CMV)は,ヒトヘルペスウイルス科のベータヘルペス亜科に属する二本鎖DNAウイルスである.わが国では,垂直感染または水平感染により,成人の70%以上が初感染を受けているが,多くの場合,不顕性に経過し,ウイルスは終生にわたりその宿主の体内に潜伏感染1)している.

 CMVが臨床的に問題となるのは,主に胎内感染による先天性巨細胞封入体症,輸血や臓器移植などによる医原的感染症および免疫抑制状態下の患者における日和見感染症である.特に移植後の易感染患者においては,体内に潜伏するCMVが再活性化して内因性感染(回帰発症)が起こり,間質性肺炎,肝炎,腸炎など様々な病状を呈し,しばしば致死的経過をたどる.

 近年,ガンシクロビル,ホスカルネットなどの有効な抗ウイルス薬の開発に伴い,CMV感染症の標的治療が可能となった.これらの薬剤を早期適正治療に役立てるためにはCMV感染症を正確かつ迅速に診断する必要があり,核酸増幅検査はこの目的にかなう検査法として有望視されている.

 本項では,現在,検討・評価が進められている定量PCR(polymerase chain reaction)法を中心に,CMV核酸増幅検査の現状について概説する.

参考文献

1) 峰松俊夫,南嶋洋一:サイトメガロウイルス.臨床と微生物 26:668-672,1999
2) 峰松俊夫,南嶋洋一:白血球中サイトメガロウイルスpp65抗原の検出.検査と技術 30:639-644,2002
plasma DNA load measurement and definition of treatment criteria by analysis of correlation to antigen detection. J Clin Microbiol 42:1498-1504, 2004
diseasea in patients with human immunodeficiency virus infection by use of real-time PCR assay. Clin Infect Dis 33:1756-1761, 2001
immediate-early and late mRNA levels in blood of lung transplant recipients by competitive nucleic acid sequence-based amplification. J Clin Microbiol 39:251-259, 2001
encoded IE1 and pp67 RNA. J Clin Virol 24:57-66, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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