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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター 4.遺伝子分析―リスクファクターの推定

3) 骨粗鬆症

著者: 細井孝之1

所属機関: 1国立長寿医療センター先端医療部

ページ範囲:P.1555 - P.1558

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骨粗鬆症における遺伝的素因の研究

 骨粗鬆症は骨強度の低下によって骨折リスクが亢進した状態である.骨粗鬆症の発症には複数の生活習慣因子と遺伝的素因がかかわっており,本症は多因子疾患の1つと考えられている.生活習慣にかかわる危険因子を排除することが骨粗鬆症予防の基本である.危険因子のうち,「家族歴」は,骨粗鬆症発症における遺伝的素因の存在を示す.遺伝的素因は生活習慣に関連する危険因子とは異なり,取り除くことはできないが,それを把握したうえで全体の予防策を立案することが有用であろう.骨粗鬆症における病態の根本である骨強度の低下を決定する最も大きな要因は骨量の低下である.骨量の遺伝性(hetritability)は母娘のペアを用いた研究では,前腕骨骨量のheritabilityは72%1),大腿骨頸部骨量については67%との報告がある2).一方,骨粗鬆症の合併症である脆弱性骨折については骨量と別の遺伝的素因が関連していることも示唆されている3).このことは2006年に改訂された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」において,50歳以上の男女において,骨量が若年成人平均値の80%未満の場合に薬物療法開始を開始する際の目安の1つとして,「大腿骨頸部骨折の家族歴(両親のいずれかに大腿骨頸部骨折の罹病歴がある)」が挙げられていることにも反映されている(表)4).この家族歴は骨折リスクを2倍あるいはそれ以上に上昇させうる.

 骨粗鬆症をはじめとする多因子遺伝病における遺伝的素因の同定には候補遺伝子の多型性を用いた連関解析がよく用いられる.候補遺伝子を選定するにはいくつかの方法がある.家系を用いた連鎖解析では,骨量という定量的形質と連鎖する座位を絞り込むが,最終的には,その座位にある遺伝子を候補遺伝子としてとらえることになる.もちろん,一般的には,「狭い意味」での候補遺伝子アプローチでは,骨代謝に関連する遺伝子(群)をまず候補遺伝子として取り上げてその連関解析を行う.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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