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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻12号

2007年11月発行

特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター

4.遺伝子分析―リスクファクターの推定 コラム

痛風・高尿酸血症

著者: 谷口敦夫1 鎌谷直之1

所属機関: 1東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター

ページ範囲:P.1590 - P.1590

文献概要

 近年,日本において痛風・高尿酸血症が増加したのは,ライフスタイルの変化によるところが大きいと考えられている.しかし,痛風・高尿酸血症には遺伝子要因も関与する.尿酸は主に腎臓から排泄される.双生児を用いた研究で,尿酸クリアランスの遺伝率は60%(95%信頼区間40~100%),尿中尿酸排泄率の遺伝率は87%(95%信頼区間45~100%)と報告されており,尿酸の腎での動態には遺伝子要因の関与が大きい1).高尿酸血症は尿酸の産生過剰や排泄低下によって生じるが,痛風症例の高尿酸血症は尿酸排泄低下を基盤とすることが示されている.近位尿細管には尿酸の再吸収や分泌を担う分子が存在し,両者の分子の発現量の差により尿酸の輸送方向が決まってくると考えられている.したがって,痛風・高尿酸血症の遺伝子要因として,尿細管における尿酸輸送分子の遺伝子が重要である.URAT1は近位尿細管細胞刷子縁膜に存在する尿酸/有機アニオン交換輸送体で,尿酸の再吸収を行う主要なトランスポーターである2).われわれは最近,URAT1遺伝子(SLC22AR)のG774A変異が血清尿酸値を低下させる要因であるとともに,男性において痛風の発症を抑制する遺伝子要因であることを明らかにした3).今後,尿細管における尿酸動態の分子レベルでの解明が進むにつれて,痛風・高尿酸血症の遺伝子要因もさらに明らかになるのではないかと期待される.

参考文献

1) Emmerson BT, Nagel SL, Duffy DL, et al:Genetic control of the renal clearance of urate:a study of twins. Ann Rheum Dis 51:375-377, 1992
2) Enomoto A, Kimura H, Chairoungdua A, et al:Molecular identification of a renal urate anion exchanger that regulates blood urate levels. Nature 417:447-452, 2002
3) Taniguchi A, Urano W, Yamanaka M, et al:A common mutation in an organic anion transporter gene, SLC22A12, is a suppressing factor for the development of gout. Arthritis Rheum 52:2576-2577, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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