臨床検査51巻13号

2007年12月発行

今月の主題 胎盤 検査

マイクロアレイによる遺伝子発現プロフィール解析―胎盤絨毛細胞の機能分化における検討を一例に

著者： 福嶋恒太郎¹ 村田将春² 蜂須賀雅紘² 和氣徳夫³

所属機関： ¹九州大学病院周産母子センター ²九州大学病院産科婦人科 ³九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学

ページ範囲：P.1686 - P.1690

　DNAマイクロアレイ法は，遺伝子のわずかな発現変化を網羅的に解析する方法として近年よく用いられている方法である．本法を用いて胎盤を構成する絨毛外絨毛細胞の血管内皮様分化にかかわる遺伝子をスクリーニングしたところ，低酸素で誘導される転写因子のコンポーネントであるHIF1A遺伝子が抽出された．阻害剤やsiRNAを用いて機能的に検証することによって，本遺伝子がこの分化制御にかかわることを明らかにできた．

参考文献

1) 辻本豪三：網羅的遺伝子発現解析とそのゲノム創薬への応用．日本薬理誌　125：153-157，2005

2) 福嶋恒太郎，月森清巳，宮本新吾，他：胎盤形成におけるextravillous trophoblast(EVT)分化調節機構と妊娠高血圧症候群．妊娠中毒症から妊娠高血圧症候群へ―過去から未来へ(日本妊娠高血圧学会編)，pp126-128，メディカルビュー社，2005

3) 福嶋恒太郎，浅野間和夫，和氣徳夫：絨毛細胞の分化機構．産科と婦人科　11：775-781，2007

4) Fukushima K, Miyamoto S, Komatsu H, et al：TNFalpha-induced apoptosis and integrin switching in human extravillous trophoblast cell line. Biol Reprod　68：1771-1778, 2003

5) Fukushima K, Miyamoto S, Tsukimori K, et al：Tumor necrosis factor and vascular endothelial growth factor induce endothelial integrin repertories, regulating endovascular differentiation and apoptosis in a human extravillous trophoblast cell line. Biol Reprod　73：172-179, 2005

6) Rodesch F, Simon P, Donner C, et al：Oxygen measurements in endometrial and trophoblastic tissues during early pregnancy. Obstet Gynecol　80：283-285, 1992