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今月の主題 胎盤 トピックス
羊膜移植
著者: 小林顕1 杉山和久1
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科視覚科学
ページ範囲:P.1731 - P.1734
文献購入ページに移動羊膜は子宮と胎盤の最内層を覆う半透明の薄い膜(約50~150μm)で,単層円柱上皮である羊膜上皮とその下の基底膜,さらにコラーゲンに富み無血管な実質組織から成り立っている.羊膜の基底膜はⅣ型コラーゲン,フィブロネクチンやラミニンなどからなり,生体内で最も厚い基底膜であるとされている.羊膜の医療材料としての歴史は意外と古く,約100年前より皮膚の熱傷などの治療に用いられてきた1).眼科領域における羊膜移植は,1940年に角結膜化学外傷後の結膜欠損に用いられたのが初めてと考えられているが2),それ以降は眼科臨床使用の報告はほとんど見られていなかった.1995年にマイアミ大学眼科(Bascom Palmer Eye Institute)のScheffer Tseng教授(現Ocular Surface Center所長)を中心とするグループが,難治性眼表面疾患に対する羊膜の有用性を示し,洗練した形で羊膜移植を眼科臨床に再導入した3).この報告を皮切りとして,眼科領域における羊膜移植は世界的に広く行われるようになり,既に標準的な治療法となりつつある.
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