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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻13号

2007年12月発行

文献概要

海外文献紹介

アルコール摂取と2型糖尿病:アルコール脱水素酵素の遺伝変異の影響

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部

ページ範囲:P.1658 - P.1658

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 適度のアルコール摂取は禁酒に比較して2型糖尿病の危険率の低下やインスリン感受性の改善につながる.エタノールは,適度に摂取されるとき,アルコール脱水素酵素およびアルデヒド脱水素酵素(ADH)によりアセトアルデヒドおよび酢酸に酸化される.ADHファミリーの4遺伝子は肝のエタノール代謝に関係し,ADH1Cには2個の多型があり,この多型が血液アルコール濃度にどの程度影響するかについては明確ではない.著者らはADH1C遺伝子の多形がアルコール摂取と2型糖尿病間の関係を変化させるかどうかを男女の糖尿病患者および対照者の追跡調査などにより検討した.適度~過度のアルコール摂取[>5g/day(女性),>10g/day(男性)]は女性では糖尿病危険率の低下と関係していた.ADH1C遺伝子型は女性ではアルコール摂取と糖尿病間の関係を変化させた.アルコール酸化速度の遅いことに関係する,ADH1C*2対立遺伝子の数は,アルコール摂取量が≧5g/dayの女性の糖尿病の危険率の低下を弱めた.これらの結果は男性では認められなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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