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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻2号

2007年02月発行

文献概要

今月の主題 尿路感染症の診断 話題

Kova Slideを用いた尿路感染症の迅速診断法

著者: 平岡政弘1

所属機関: 1愛育小児科

ページ範囲:P.205 - P.207

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1.はじめに

 尿路感染症を疑った場合,尿沈渣鏡検法による膿尿の有無の検索が一般によく行われている.しかし,この方法による尿路感染症の診断精度は,感度約80%,特異度約85%と満足できるものではない.例えば,発熱した乳児における尿路感染症の頻度は約5%といわれているが,尿沈渣法で膿尿を認めても本当に尿路感染症である可能性(陽性一致率)は約20%に過ぎない.これは,尿沈渣法による膿尿の診断精度が低いことに加えて,膿尿が本当に存在しても尿路感染症であるとは限らないこと,つまり尿路感染症とほぼ同じ頻度で他の原因によって膿尿がみられるということに起因する.

 尿路感染症の診断は,あくまで尿中に有意な数の病原性細菌を認めることによるものであり,一般には適当な尿検体の定量培養によっている.しかし,尿の細菌培養の結果判明までには1日以上の時間を要し,臨床の場ではより迅速な診断法が求められている.

 Kova Slideを用いた検尿法は,ディスポーザブルの計算盤に非遠沈尿を入れて,尿中の細菌数と白血球数を鏡検にて算定するものであり,要する時間が約1分と極めて迅速で,診断精度も満足できるものであり,尿沈渣法に代わる尿路感染症の診断法と考えられる.特に乳幼児においては,尿路感染症に特異的な症状がなく,その診断は唯一検尿所見に依存しているため,Kova Slideを用いた検尿法が有用である.以下に,Kova Slideを用いた尿路感染症の診断法について述べるが,その詳細については拙著1)を参照されたい.

参考文献

1) 平岡政弘:小児尿路感染症の外来診療マスターブック.医学書院,pp1-164,2003
2) Hiraoka M, Hida Y, Tsuchida S, et al:Diagnosis of urinary tract infection by urine microscopy using a disposable counting chamber. Scand J Clin Lab Invest 53:705-709, 1993
3) Hiraoka M, Hida Y, Mori Y, et al:Quantitative unspun-urine microscopy as a quick, reliable examination for bacteriuria. Scand J Clin Lab Invest 65:125-132, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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