文献詳細
文献概要
今月の主題 尿路感染症の診断 話題
尿路感染症とバイオフィルム
著者: 門田晃一1 公文裕巳1
所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学
ページ範囲:P.209 - P.212
文献購入ページに移動1.はじめに
尿路感染症は細菌感染としては最も頻度の高い感染症であり,泌尿器科医に限らず多くの臨床医が日常的に遭遇する疾患の1つである.その診断は比較的容易であり,尿路基礎疾患の合併がない単純性尿路感染症では抗菌薬治療に対する反応性も良好である.一方,基礎疾患を背景に発症する複雑性尿路感染症では,感染の成立にしばしば細菌バイオフィルムが関与し,抗菌薬治療に抵抗性を示す.したがって難治性や再発を繰り返す症例では,尿路基礎疾患が潜んでいることを念頭に置く必要がある.実際,尿路感染症が膀胱腫瘍や尿路結石の発見の契機となることが少なくない.また,尿路感染症は院内感染症として頻度が高く,特にカテーテル留置尿路感染症では細菌バイオフィルムの形成により慢性持続感染が成立し,交差感染の汚染源となることに注意を要する.
尿路感染症は細菌感染としては最も頻度の高い感染症であり,泌尿器科医に限らず多くの臨床医が日常的に遭遇する疾患の1つである.その診断は比較的容易であり,尿路基礎疾患の合併がない単純性尿路感染症では抗菌薬治療に対する反応性も良好である.一方,基礎疾患を背景に発症する複雑性尿路感染症では,感染の成立にしばしば細菌バイオフィルムが関与し,抗菌薬治療に抵抗性を示す.したがって難治性や再発を繰り返す症例では,尿路基礎疾患が潜んでいることを念頭に置く必要がある.実際,尿路感染症が膀胱腫瘍や尿路結石の発見の契機となることが少なくない.また,尿路感染症は院内感染症として頻度が高く,特にカテーテル留置尿路感染症では細菌バイオフィルムの形成により慢性持続感染が成立し,交差感染の汚染源となることに注意を要する.
参考文献
1) Costerton JW:The etiology and persistence of cryptic bacterial infections:A hypothesis. Rev Infect Dis 6(supple 6):608-616, 1984
2) Kumon H:Pathogenesis and management of bacterial biofilms in urinary tract. J Infect Chemother 2:18-28, 1996
3) 公文裕巳:細菌感染症,バイオフィルム病―尿路感染症.最新内科学大系プログレス5感染症(金澤一郎編),中山書店,pp199-207,1997
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