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今月の主題 血管超音波検査 巻頭言
血管の超音波検査―技術の進歩を振り返って
著者: 谷口信行1
所属機関: 1自治医科大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.235 - P.236
文献購入ページに移動さて,当院での血管の超音波検査の様子を振り返ってみると,1980年代の血管の検査の主流はメカニカルセクタ式の走査法で,主に頸動脈を対象に検査が行われていた.これはそのころから多く検査されていた乳腺・甲状腺用の探触子をそのまま利用する形で行われたもので,甲状腺検査の応用的な意味合いであり,件数もそう多くはなかった.その後,カラードプラ法が可能な7.5MHzの電子リニア型探触子の出現により,血管内部の血流を目にすることができ,狭窄性病変の評価がいっそう容易となったことを覚えている.最近では,装置とアプリケーションの改良進歩により,その分解能が向上しいっそう画像がよくなってきている.一方,下肢の静脈の検査は動脈のそれに比べずっと少なく,電子リニア型探触子が登場した当時でもほとんど検査依頼がなった.これは,この時期にはわが国での深部静脈血栓症の発生自体が少なかったためと,この領域で超音波検査が有用であるとの認識がなかったためと考えている.ところが,ご存知のようにその後の時代の変化から,現在では,肺塞栓が疑われるもの,下肢の腫脹のあるものだけでなく,術前後,長期臥床の患者での検査依頼が増加し,本疾患で有用な検査として重宝されている.
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