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血清アルブミンのESR法:癌診断とモニターの新しい試験
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.249 - P.249
文献購入ページに移動 癌細胞により放出される蛋白質は血清アルブミンに結合でき,その構造と機能を変化させる.著者らは血清アルブミンのこれらの変化が癌の診断とモニターに有効かどうかを評価するためにESR法(electron spin resonance spectroscopy)により検討した.検討にあたり,スピン捕捉には16-doxylstearic acidを用い,健康者,血液腫瘍患者,非血液腫瘍患者,胃腸系慢性疾患患者,肺疾患患者,糖尿病患者および肝硬変患者の血清アルブミンの立体配座の違いをESRスペクトルにより比較した.診断感度と特異度は癌患者と健康者の判別ではそれぞれ87.4%および95.7%であり,癌患者と慢性疾患患者の判別ではそれぞれ87.4%および85.7%であった.幾人かの患者ではアルブミンの立体配座の変化はアルブミンのESRスペクトルの異常の程度と疾患重度の臨床的および病理学的評価間に良好な一致を示した.血清アルブミンのESRスペクトルは癌患者において診断的有用性をもつ鋭敏で非侵襲的技術であり,モニターにも使用できる.
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