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HDLコレステロール,LDLコレステロール測定の標準化に関する最近の話題
著者: 花田寿郎1
所属機関: 1和光純薬工業(株)臨床検査薬研究所
ページ範囲:P.529 - P.531
文献概要
現在,検査施設によって検査方法,機器,試薬等の違いにより基準値や判定値が異なっており,このような状況を是正する動きが,最近,国内外で急速に起こっている.国際的な活動としては国際度量衡委員会(CIPM),国際臨床化学連合(IFCC),国際試験所認定機構(ILAC),世界保健機関(WHO)が中心となって,2002年にJoint Committee on Traceability in Laboratory Medicine(JCTLM)が発足した.JCTLMは臨床検査測定項目それぞれに対応する標準物質を作製し,それを基準として正確性を確保し標準化しようとするものである.JCTLMには日本からも日本臨床検査標準化協議会(JCCLS)および産業技術総合研究所が発足当初から参画している.一方,国内においてもほぼ同じ時期に臨床検査の標準化を目的にJCCLSが臨床検査標準化基本検討委員会を設立し,JCTLMに対応する国内委員会としても活動している1).
さて,臨床検査においてHDLコレステロール(HDL-C),LDLコレステロール(LDL-C)は動脈硬化,心筋梗塞のマーカーとして重要な検査項目となっている.日本で開発されたこれらの直接法試薬は汎用自動分析装置で測定可能であることから,世界中の臨床検査の場で貢献している2).
本稿では,HDL-C,LDL-C測定における標準化の現状(基準分析法と標準物質)と,新たに取り組んでいる臨床検査標準化基本検討委員会での標準物質作製の現状について概説する.
参考文献
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