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今月の主題 脂質 技術
質量分析計を用いたエイコサノイドの一斉定量分析系の開発
著者: 北芳博1 清水孝雄1
所属機関: 1東京大学医学部生化学分子生物学講座
ページ範囲:P.541 - P.545
文献購入ページに移動1.はじめに
プロスタグランジン(prostaglandin;PG)やロイコトリエン(leukotriene;LT)に代表されるエイコサノイドは,アラキドン酸に由来する生体内代謝物であり,様々な疾患や生理機能にかかわる脂質メディエーターである1).生体内における脂質メディエーターの機能の研究において細胞や組織中における脂質メディエーター量を測定する必要性は高く,筆者らの研究室においても従来ELISAを用いて各種エイコサノイドの定量を行ってきた.ELISAによるエイコサノイド定量はキット化されているものもあり簡便であるが,特異的な抗体が存在しない(したがってキット化もされていない)エイコサノイドは測定できず,また一斉定量には不向きである.そこで筆者らは,微量の試料から種々のエイコサノイドを高感度で一斉定量することを目的として質量分析計を用いた一斉定量系を開発した2).
本稿では,エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization;ESI)タンデム質量分析計(MS/MS)を用いた一斉定量分析系の原理と特性について解説するとともに,生体試料からの脂質抽出や前処理などの関連技術についても紹介する.
プロスタグランジン(prostaglandin;PG)やロイコトリエン(leukotriene;LT)に代表されるエイコサノイドは,アラキドン酸に由来する生体内代謝物であり,様々な疾患や生理機能にかかわる脂質メディエーターである1).生体内における脂質メディエーターの機能の研究において細胞や組織中における脂質メディエーター量を測定する必要性は高く,筆者らの研究室においても従来ELISAを用いて各種エイコサノイドの定量を行ってきた.ELISAによるエイコサノイド定量はキット化されているものもあり簡便であるが,特異的な抗体が存在しない(したがってキット化もされていない)エイコサノイドは測定できず,また一斉定量には不向きである.そこで筆者らは,微量の試料から種々のエイコサノイドを高感度で一斉定量することを目的として質量分析計を用いた一斉定量系を開発した2).
本稿では,エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization;ESI)タンデム質量分析計(MS/MS)を用いた一斉定量分析系の原理と特性について解説するとともに,生体試料からの脂質抽出や前処理などの関連技術についても紹介する.
参考文献
1) Funk CD:Prostaglandins and leukotrienes:advances in eicosanoid biology. Science 294:1871-1875, 2001
2) Kita Y, Takahashi T, Uozumi N, et al:A multiplex quantitation method for eicosanoids and platelet-activating factor using column-switching reversed-phase liquid chromatography-tandem mass spectrometry. Anal Biochem 342:134-143, 2005
3) Whitehouse CM, Dreyer RN, Yamashita M, et al:Electrospray interface for liquid chromatographs and mass spectrometers. Anal Chem 57:675-679, 1985
4) Kita Y, Takahashi T, Uozumi N, et al:Pathway-oriented profiling of lipid mediators in macrophages. Biochem Biophys Res Commun 330:898-906, 2005
5) Kihara Y, Ishii S, Kita Y, et al:Dual phase regulation of experimental allergic encephalomyelitis by platelet-activating factor. J Exp Med 202:853-863, 2005
6) Yoshikawa K, Kita Y, Kishimoto K, et al:Profiling of eicosanoid production in the rat hippocampus during kainic acid-induced seizure:Dual-phase regulation and differential involvement of cox-1 and cox-2. J Biol Chem 281:14663-14669, 2006
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