文献詳細
研究
血栓の形態学的特徴と疾患との関連性について
畠 榮1 岩知道 伸久1 定平 吉都1 竹本 千亜紀2
1川崎医科大学附属病院病院病理部 2川崎医療短期大学臨床検査科
pp.648-653
文献概要
血栓形成機序の異なる播種性血管内凝固症候群(以下DIC),血栓性血小板減少性紫斑病(以下TTP),急性冠症候群ならびに急性肺動脈塞栓症を対象に,各疾患で認められる血栓の病理組織学的特徴と抗血小板抗体等の免疫組織染色を用いて,疾患と血栓の種類の関連性を明らかにする目的で比較検討した.DICで認められる血栓はMasson染色,PTAH染色で陽性を示し,免疫組織学的には抗vWF抗体,抗CD42b抗体弱陽性のフィブリン血栓であった.TTPは抗CD42b抗体陽性の血小板が主体血栓であった.急性冠症候群の初期で処置された血栓は,抗CD42b抗体陽性の血小板が主体であったが,一般的にはPTAH染色で青紫色,抗vWF抗体陽性のフィブリン血栓で構成されていた.急性肺動脈塞栓症例では混合血栓であった.フィブリン血栓と血小板血栓を区別するには,PTAH染色と抗血小板抗体(CD42b)を併用することで鑑別が可能であった.
参考文献
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