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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻8号

2007年08月発行

文献概要

海外文献紹介

Zn-α2-glycoproteinのLC-MS/MS定量:有望な前立腺癌の血清マーカー

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部

ページ範囲:P.816 - P.816

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 Zn-α2-glycoprotein(ZAG)は分子量41,000Da程度の糖蛋白質であり,ほとんどの体液に比較的豊富に存在し,前立腺癌マーカーとして有望である.著者等は蛋白質の開裂および特異的なペプチドの定量からなるLC-MS/MS(liquid chromatography-tandem mass spectrometry)法による血清ZAGの定量について検討した.測定には内部標準物質としてアイソトープ標識した合成ペプチドを用いた.牛血清アルブミン中にZAGを含む標準および患者血清は変性,還元,アルキル化し,トリプシンで消化した.ZAG濃度はZAG消化ペプチドの内部標準に対する比の曲線から計算した.本法は血清ZAGの検出限界0.08mg/l,直線範囲0.32~10.2mg/l,定量限界0.32mg/lであった.血清ZAG平均値は前立腺癌の男性25人(7.59mg/l)のほうが非悪性前立腺疾患の男性20人(6.21mg/l)および健康な男性6人(3.65mg/l)よりも高値であった.このLC-MS/MS法による分析は良好な再現性を示し,腫瘍マーカーとしての血清ZAGの臨床的有用性を高めることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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