文献詳細
文献概要
海外文献紹介
Zn-α2-glycoproteinのLC-MS/MS定量:有望な前立腺癌の血清マーカー
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.816 - P.816
文献購入ページに移動 Zn-α2-glycoprotein(ZAG)は分子量41,000Da程度の糖蛋白質であり,ほとんどの体液に比較的豊富に存在し,前立腺癌マーカーとして有望である.著者等は蛋白質の開裂および特異的なペプチドの定量からなるLC-MS/MS(liquid chromatography-tandem mass spectrometry)法による血清ZAGの定量について検討した.測定には内部標準物質としてアイソトープ標識した合成ペプチドを用いた.牛血清アルブミン中にZAGを含む標準および患者血清は変性,還元,アルキル化し,トリプシンで消化した.ZAG濃度はZAG消化ペプチドの内部標準に対する比の曲線から計算した.本法は血清ZAGの検出限界0.08mg/l ,直線範囲0.32~10.2mg/l ,定量限界0.32mg/l であった.血清ZAG平均値は前立腺癌の男性25人(7.59mg/l )のほうが非悪性前立腺疾患の男性20人(6.21mg/l )および健康な男性6人(3.65mg/l )よりも高値であった.このLC-MS/MS法による分析は良好な再現性を示し,腫瘍マーカーとしての血清ZAGの臨床的有用性を高めることができる.
掲載誌情報