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アルツハイマー病における脳脊髄液蛋白質の酸化および濃度のプロテオミック分析
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.835 - P.835
文献購入ページに移動 カルボニル化は酸化ストレス,老化,生理学的不調および疾患に関係する不可逆的な蛋白質の酸化変化である.酸化ストレスの増加はアルツハイマー病(Alzheimer disease;AD)のような老化関連神経退行性疾患の発症に関与するとも考えられている.さらに,最近,酸化ストレスの増加に対する応答機構は性に依存する可能性が明らかにされた.また,いくつかの酸化カルボニル化蛋白質が二次元oxyblottingによりAD患者の血漿および脳に同定されている.著者等は軽い認知症がある高齢のADの男女において,最も豊富に存在する脳脊髄液蛋白質の濃度およびカルボニル化について検討した.酸化カルボニル化蛋白質は二次元oxyblotting,質量分析およびデータベース検索で分析した.AD患者では,β-trace,λchain,transthyretins,未同定蛋白質1種の濃度が減少し,カルボニル化はλchainとこの未同定蛋白質で増加していた.蛋白質濃度に性差はなかったが,男性ではビタミンD結合蛋白質,アポリポ蛋白質A-I,α1-アンチトリプシンのカルボニル化が増加していた.
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