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シリカは過酸化水素とともにphosphatidylcholine-specific phospholipase Cを介してマクロファージのサイトカインを誘導する
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.856 - P.856
文献購入ページに移動 シリカ粒子関連炎症は,ケイ粉症や肺癌を含むいくつかの肺疾患の発症に関係する.著者らはTNF-α,IL-1βのシリカ刺激誘導におけるphosphatidylcholine-specific phospholipase C(PC-PLC)の役割および,どのようにPC-PLC活性がシリカにより調節されるかについて検討した.PC-PLCの阻害は肺胞マクロファージのTNF-α,IL-1βのシリカ刺激誘導を妨げ,これはPC-PLCがシリカ関連炎症応答に関係することを示唆している.PC-PLC活性はシリカ暴露により著しく増加するが,この現象は過酸化水素の不均化を触媒するMnTBAPにより阻害される.この結果は,PC-PLC活性が酸化還元依存様式で調節されることを示している.このことはPC-PLC活性が生体外の過酸化水素により増加するという知見からも確証される.細胞内カルシウムキレート剤のBAPTAは過酸化水素によるPC-PLC活性増加を妨げたが,カルシウムのイムノフォアのA23187はPC-PLC活性を高めた.肺胞のマクロファージにおいて,PC-PLCは酸化還元およびカルシウム依存様式で調節される.
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