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原子間力顕微鏡によるDNA分子における紫外線損傷の検出
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.22 - P.22
文献購入ページに移動 著者らは原子間力顕微鏡(atomic force microscope;AFM)を用いた分子レベルでの DNA における紫外線(UV)損傷の検出および定量について検討した.AFM画像と超螺旋プラスミド弛緩分析とを組み合わせることにより,中波長紫外線(UVB)および短波長紫外線(UVC)の高照射は環状ブタンピリミジン二量体(CPDS)を生成するのみならず,著しい DNA の分解を引き起こすことがわかった.特に,12.5kJ/m2 のUVC および 165kJ/m2 の UVB はそれぞれ pUC18 超螺旋プラスミドの 95% および 78% を直接弛緩させた.また,超螺旋プラスミド弛緩分析と光照射したプラスミドの T4エンドヌクレアーゼ V 処理および低UVB照射により引き起こされる損傷を検出するための弛緩のAFM画像を組み合わせることにより,極低UVB照射では CPDS 分子数と UVB 照射量にはほぼ直線関係があることがわかった.これらの AFM による結果は UV 照射およびエンドヌクレアーゼ処理のプラスミドのアガロースゲル電気泳動により証明できた.AFM とゲル電気泳動法の結果は他の従来法を用いて得られた,これまでの結果と一致していた.AFM は UV による DNA 損傷を高分解測定する従来法を補完できると考えられた.
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