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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査52巻11号

2008年10月発行

雑誌目次

特集 ホルモンの病態異常と臨床検査

巻頭言

臨床検査増刊号として「ホルモンの病態異常と臨床検査」

藤枝 憲二

pp.1093-1094

 従来,ホルモンとは,“特定の臓器(内分泌腺)で作られる化学物質で,血流で離れた場所に運ばれ,少量で特異的な作用を発揮するもの”と定義されていた.しかし,様々なホルモン様物資が同定されてきたこともあり,この概念は崩れ,その定義も混乱している.現在では,ホルモンとは“脈管内液および組織間隙液中に分泌され,微量で特異的な作用を発揮する物質”と理解するのが妥当であろう.

 ホルモンという微量な物質の測定が可能となったのは,約40年前にBerson SA,Yalow RSによりインスリン測定のために開発されたradioimmunoassay(RIA)法である.これにより生体内の微量物質,特にホルモンなどの測定が容易になっただけではなく,微量測定法の開発は,臨床内分泌学に著しい進歩をもたらした.1977年に,脳のペプチドホルモン生産に関する発見をしたGuillemin R,Schally Aと共同でRIA法を開発したYalow RSにノーベル生理学・医学賞が授与された.

総論 1.ホルモンとは―産生,分泌,ホルモンレセプター,シグナル伝達

ホルモンとは―産生,分泌,ホルモンレセプター,シグナル伝達

栗原 勲 , 柴田 洋孝 , 伊藤 裕

pp.1097-1102

ホルモンの定義

 ホルモン(hormone)は,特定の内分泌腺から血液中に分泌され,血行によって遠隔の標的臓器に作用して特異的な作用を現す物質,と古典的には定義される.しかし,この定義に必ずしも合わないホルモン作用機構が次々と明らかにされるにつれ,もう少し広い概念として捉えられるようになってきている.

 例えば視床下部ホルモンの場合,産生部位が神経由来の細胞であり,内分泌腺構造を持たない.このようにホルモン産生・分泌機能も担う神経細胞は,神経内分泌細胞(neuroendocrine cell)と総称される.また分泌様式にも多様性がみられる.膵ラ氏島から分泌されるソマトスタチンのように,血行を介さず組織間液を介して隣接する標的細胞に働きかけるホルモンも存在する.このような分泌様式は,血行を介する従来の分泌様式=内分泌(endocrine)に対し,傍分泌(paracrine)と呼ばれる.さらには,自らを標的とする自己分泌(autocrine)などの分泌様式も存在する(図1).

総論 2.ホルモン異常症の病型分類

ホルモン異常症の病型分類

高柳 涼一

pp.1103-1108

はじめに

 ホルモンの概念は,今日,古典的な内分泌腺から細胞間ネットワークを構築,制御するサイトカインにまで広がっている.また,ホルモンの作用機構の研究の進展により,ホルモンが受容体に結合して以降のシグナル伝達の異常に基づく疾患の存在も明らかになっている.このようなホルモンの概念の変化と作用機構の解明により,ホルモン異常症の概念も古典的な内分泌疾患から転写因子病までを包含している.本稿ではこのような概念の下,ホルモン異常症の病型について概説する.

総論 3.ホルモンの検査

1) 標準化,精度管理

片山 善章

pp.1109-1118

はじめに

 生体試料中の成分濃度で100m1中に数μgオーダー以下で存在する微量成分のホルモン,腫瘍マーカー,心筋マーカー,ウイルス抗原・抗体,薬物などに関する検査は免疫化学的に測定されている.その測定方法は世界的にみてもnon-RI法が中心となり,なかでも,最近はCLIA(chemiluminescence immunoassay),CLEIA(chemiluminescence enzyme immunoassay),FEIA(fluorescence enzyme immunoassay),ECLIA(electro chemiluminescence immunoassay)を測定原理として10機種ほど測定装置が利用されており,感度,精度の良さで主流を占めるようになってきた.したがって,参考正常値も若干異なっている.このことは外部精度管理調査(external quality assessment;EQA)を実施した場合の集計に考慮せざるを得ない条件となる.

 精度管理についてはIQC(内部精度管理;internal qua1ity control)とEQAがあるが,測定方法間,メーカー間,施設間の測定値誤差に関係があるのはEQAである.わが国では日本医師会,日本臨床衛生検査技師会が主催しているEQAや各地区,例えば大阪府医師会が主催しているEQAがあるが,ホルモン検査に関するEQAは日本ラジオアイソトープ協会(医学・薬学部会インビトロテスト専門委員会イムノアッセイ研究会)が「イムノアッセイ検査全国コントロールサーベイ(以後,イムノアッセイサーベイと略す)」を実施している.

 本稿では,まず酵素活性以外の臨床化学検査項目(本稿では代謝成分と表現する)に関するEQAにおける共通のキャリブレータの利用による施設間是正の実際について簡単に述べ,ホルモン検査の標準化については,イムノアッセイサーベイ成績報告の内容を参考にしてホルモン検査のEQAと標準化について言及したい.

2) 検査前検査

笠原 良彦 , 金村 茂

pp.1119-1125

はじめに

 ホルモン検査項目には,検体採取の条件によって大きく成分の値が変化するものや測定までの検体の処置によって大きく成分の値が変化するものが存在する.臨床検査によって得られたホルモン成分の値は,検体を採取したときの目的成分の濃度を確実に反映することが必要であることから,検体の採取から測定までの取り扱いを的確に行うことが必要となってくる.たとえ厳密な測定が行われても検体採取時の目的成分の濃度が測定までの間に変化していたのでは,臨床に役立つどころか間違った診断や処置を誘発することになりかねない.測定まで検体採取時の生体内での目的成分を保持させるためには,検体の採取容器の選択,血清(血漿)分離のタイミングや分離の条件,検体の前処置,検体保存条件などに十分な注意を払わなければならない.

 ここでは,ホルモン検査における患者の準備から検体採取のタイミングと採取容器の選択,検体採取後の検体の取り扱いなど,検査前のホルモン成分のデータ変動要因について解説する.

3) 検査技術

三浦 雅一

pp.1126-1132

はじめに

 複雑なマトリックスである生体試料中の微量の特性成分(ホルモン)を正確,精密かつ再現性よく測定する検査技術は,ホルモンの病態異常において病型の分類,治療効果の判定を行うためだけでなく,治療法の開発にも有用な情報を提供する.最近のホルモン測定における微量測定法の開発は目覚ましく,特に免疫反応(抗原抗体反応)を利用した測定法が,種々のホルモン測定法として利用されている1,2).本稿では従来のホルモン測定に関する検査技術を中心に最近開発された新規検査技術についても概説する.

4) 免疫学的測定法

花田 浩之 , 岩谷 良則

pp.1133-1143

はじめに

 血中に存在する微量のインスリンを定量的に測定する方法としてラジオイムノアッセイ(radioimunoassay;RIA)が開発されて以来,様々なホルモンの様々な測定原理に基づく免疫測定法(イムノアッセイ)が次々と開発されてきた.ここではホルモンの定量的測定法であるイムノアッセイについて概説し,新しい測定法や今後登場するであろうホルモンの測定原理を紹介したい.

5) 遺伝子検査─下垂体疾患をモデルにして

巽 圭太

pp.1144-1150

はじめに

 内分泌領域での遺伝子検査の対象疾患としては,単一遺伝子疾患,多因子遺伝性の遺伝子異常,腫瘍の遺伝子異常・遺伝子発現異常が挙げられる.これらの中には,ホルモン蛋白遺伝子,ホルモン受容体遺伝子や多発性内分泌腫瘍症のRET遺伝子やMEN1遺伝子のように病因遺伝子として確立されたものから解析途上のものまで様々なものがある.本稿では,これまでの内分泌領域での病因遺伝子発見の歴史を下垂体疾患をモデルにして俯瞰したうえで,単一遺伝子疾患の遺伝子検査法を中心に概説する.

6) アプタマー解析

上野 真吾 , 坂井 貴文

pp.1151-1158

はじめに

 アプタマーとは有機小分子や蛋白質など様々な物質に特異的に結合する能力を有する核酸もしくはペプチドであり,その結合能を利用して,病原蛋白質の機能を阻害する医薬品,抗体に代わる検出ツールとしての利用が期待されている.事実,近年の飛躍的な技術の進歩により,多くのアプタマーが創製され,すでに医薬品として認可を受けているものもある.本稿では,アプタマーを利用した医薬・診断薬開発やバイオセンシング開発の状況について概説する.

7) プロテインチップ

村田 正治 , 橋爪 誠

pp.1159-1164

はじめに

 分子生物学の発展に伴って,遺伝子や蛋白質の発現と機能が疾患の病態生理と密接にかかわっていることが次々と明らかにされている.特にゲノム情報が明らかにされた現在では,実際の機能発現を担っている蛋白質の量的・質的な情報が不可欠となっている.しかし,蛋白質は個々で機能するものではなく,複雑かつ精緻なネットワークによって制御されており,機能的な集合体として取り扱うことが必要である.このようにその系に存在する蛋白質を包括的に解析することをプロテオミクスと言い,生命現象を理解するための重要な方法論となっている1~3)

 しかし,蛋白質はその発現量自体が時間的・空間的に変化し,しかもその間,多くの蛋白質はリン酸化やメチル化,あるいは糖鎖付加など様々な修飾を受ける.またホルモンレセプターなどではリガンド分子との結合によって構造変化し,コファクターなどと複合体を形成することが知られている.このようにプロテオミクスは,蛋白質の量的変化,機能的変化,構造的変化,そして相互作用,さらに蛋白質全体のネットワークの解析など極めて広範囲なカテゴリーを含んでおり,その解析には技術的課題も多い.

 個々の蛋白質については,目的に応じてこれまで様々な発現・機能解析法が開発されているが,プロテオミクスにおいてはこれらの情報を包括的に検出・解析する技術が必要となる.特に,少量のサンプルから多種類の蛋白質を効率よく分析するためには,分析機器の小型化・ハイスループット化が不可欠となる4).プロテインチップは微小基板上に,蛋白質を分離・同定する機構を集積化したデバイスシステムの総称であり,プロテオミクスの有力なツールとして様々なタイプが開発されている.

8) Mass spectrometryによるステロイドの定量

本間 誠次郎 , 奥山 光伸 , 山下 幸和

pp.1165-1175

 質量分析計(mass spectrometry;MS)は単一有機化合物の構造解析に広く応用され,化学構造に特有なイオンを利用した直接導入による微量定量にも利用されてきた.1950年代に分離能の高いガスクロマトグラフィー(gas chromatography;GC)とMSが連結したGC-MS法が開発され,揮発性の多成分混合試料を分析する石油化学分野で威力を発揮した.ステロイドホルモン(以下,ステロイド)研究において,Horningら1)がこれまで困難とされた生体試料中の個々のステロイドの分離・同定が一挙にできる新しいGC-MSの分析法を開拓した.その後,本法はステロイドのマッピングの作成および先天性代謝異常の診断2,3),さらにイムノアッセイ法4,5)の検定などに大きな役割を果たした.1990年代後半から液体クロマトグラフィー(liquid chromatography;LC)とMSを連結したLC-MSが開発されると,熱に不安定でGC-MSでは定量が困難だったコルチコイドや抱合体などの難揮発性化合物の定量も高感度で可能となった.LC-MSの特徴はGC-MSにおけるトリメチルシリル(trimethylsilyl;TMS)に代表される揮発性の誘導体に変換の必要がなく,感度もGC-MSと同等あるいはそれ以上であることなどが挙げられる.そのため現在LC-MSが微量定量法の主流となっている.

 1980年代後半にMSを2台連結したタンデムMS装置(MS/MS)が開発され,その自動化の進歩と並行して,重水素(2H)および13Cなどの安定同位体の供給ならびに誘導体化試薬の開発なども,LC-MS法によるステロイド測定の進歩を後押ししている.臨床の現場におけるステロイドの定量は,その簡便性や経済性から依然としてイムノアッセイ法が主流であり,内分泌診断に大きな役割を果たしている.しかし,LC-MSを導入することで今まで困難であった乳幼児や小動物での少量の試料および生検組織中のステロイドの超微量定量に加えて,その多成分の一斉分析が可能となり新しい内分泌研究および疾病の検査に大きく道を拓きつつある.以下,LC-MSを用いたステロイド定量の現状をGC-MSのそれと比較して述べる.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 1.下垂体前葉

1) GH

髙橋 裕

pp.1179-1183

はじめに

 成長ホルモン(growth hormone;GH)は,その名のとおり小児の成長に必須のホルモンである.しかしながら,最近成人における代謝調節,老化,寿命制御においても重要な役割を果たしていることが明らかになっている.GH作用を正確に評価するためには,他の下垂体ホルモンと同様その分泌調節機構,作用機構を理解することが重要である.本稿においてはGHの構造,分泌調節,作用機構とともに種々の病態,診断について概説する.

2) PRL

村井 一郎

pp.1184-1188

はじめに

 下垂体前葉内ラクトトロフから合成・分泌されるプロラクチン(prolactin;PRL)は,哺乳類において乳腺の発達,乳汁分泌,黄体機能の調節,性行動への関与,浸透圧の調節,免疫機能の調節,血管新生などの広域な生理作用を有し,さらに前葉外組織で産生されるPRLの局所作用も報告されている1).このことからPRLを万能の物質および多岐にわたる物質としてomnipotin,versatilinと改名することも検討されている.基礎医学の視点からすればPRLは多くの謎に包まれたホルモンである一方,高PRL血症とこの原因となるプロラクチノーマについては臨床的に広く知られている.ここでは前葉PRLについて基礎・臨床医学の両側面から簡単に概説する.

3) TSH

渋沢 信行 , 山田 正信

pp.1189-1192

 甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone, thyrotropin;TSH)は下垂体前葉で合成・分泌され,甲状腺機能を調節する糖蛋白質ホルモンである.TSH合成・分泌は視床下部ホルモンであるTSH放出ホルモン(TSH releasing hormone;TRH)により促進される一方,甲状腺ホルモン(主にT3)により抑制される.血中TSH濃度はこの視床下部-下垂体-甲状腺系の生理的フィードバック機構により変化するため,生体において甲状腺機能を反映する最も鋭敏なマーカーである.

4) LH/FSH

伊藤 理廣 , 峯岸 敬

pp.1193-1196

構造

 LH(luteinizing hormone:黄体形成ホルモン)/FSH(follicle-stimulating hormone:卵胞刺激ホルモン)はともに性腺刺激ホルモンである.

 FSHの構造はαサブユニットとβサブユニットとが結合したヘテロダイマーからなる糖蛋白質で分子量は約29kDaである.αサブユニットはLH,FSH,TSH,hCGの同一で92のアミノ酸残基からなる.βサブユニットは118のアミノ酸残基から構成されている.αサブユニットの遺伝子は染色体の6p21.1-23に位置し,βサブユニットは11p13に位置している.血中半減期は4時間と70時間の二相性を示す.

5) ACTH

照井 健 , 須田 俊宏

pp.1197-1202

緒言

 ACTHとは,adrenocorticotropic hormone(副腎皮質刺激ホルモン)の略で,視床下部-下垂体-副腎系の中核をなす下垂体前葉ホルモンである.これは,視床下部からの命令を末梢の副腎に伝える重要な役割を有している.すなわち,視床下部から分泌された副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone;CRH)が下垂体のACTH産生細胞に働いてACTH産生と分泌を促進し,さらにACTHが副腎皮質に働き,コルチゾールを主体とした副腎皮質ホルモンの産生と分泌を促進する.

 血中ACTHの測定はコルチゾール分泌異常の診断に有用であり,コルチゾールと同時採血を行うことで,より詳細な情報を得ることができる.

6) ソマトスタチン

島津 章

pp.1203-1207

構造1)

 ソマトスタチン(somatostatin;SRIF)は1973年Brazeauらにより,ヒツジ視床下部抽出中に存在する成長ホルモン(growth hormone;GH)分泌抑制因子として単離・構造決定されたペプチドホルモンである.ソマトスタチンには3,14位のシスチン残基間のS-S結合による環状構造をもつ14個のアミノ酸残基からなるソマトスタチン-14とソマトスタチン-14のN末端側にArg-Lysの塩基性ジペプチドを介して14個のアミノ酸が連結しているソマトスタチン-28の2種類が知られている.生物活性部位がある環状構造の一部を残し,他のアミノ酸を分解されにくいものに変換して血中半減期を著明に延長させたソマトスタチン誘導体が,臨床で頻用されているオクトレオチドである(図1).Yamadaら2)によりソマトスタチン受容体のクローニングが初めて報告され,現在5つの受容体サブタイプが存在する.

 ソマトスタチンと類似した環状構造を示すペプチドとしてコルチスタチン3)が同定された.コルチスタチンはソマトスタチン受容体サブタイプのすべてに結合するが,中枢神経系や免疫細胞に主に存在して,ソマトスタチンとは異なる生物活性を示すと考えられる.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 2.下垂体後葉

1) バゾプレシン

椙村 益久 , 大磯 ユタカ

pp.1208-1211

構造

 バゾプレシン(vasopressin;AVP)は9個のアミノ酸から成るペプチドホルモンであり,1位のシステインと6位のシステインがS-S結合することによって環状構造を形成している.

2) オキシトシン

五十嵐 秀樹 , 網田 光善 , 倉智 博久

pp.1212-1216

はじめに

 オキシトシン(oxytocin;OT)は9個のアミノ酸から成るペプチド(Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)で末梢組織ではホルモンとして,中枢神経では神経伝達物質,神経調整物質として作用する.その構造は二つのシステイン(Cys)を含み,それぞれの硫黄原子が結合して(ジスルフィド構造),大きな環を作っている.同じく下垂体後葉ホルモンであるバソプレシン(Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Arg-Gly)と構造が似ており,アミノ酸が二つ違うだけである.OTは視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で,輸送蛋白質であるニューロフィジンI(neurophysin I)に結合した不活性前駆体として合成され,神経細胞内を軸索輸送され,下垂体後葉に蓄えられている.そして種々の刺激に対し,下垂体後葉から分泌され,様々な臓器のオキシトシン受容体(OT-R)に結合し,その作用を発揮する(図1)1).また,OTの遺伝子がクローニングされ分子生物学的手法による解析が進んだ結果,OTは下垂体後葉だけでなく,子宮,胎盤,羊膜,黄体,精巣,心臓など末梢組織でも産生されることがわかった.しかし,子宮など一部の組織を除き,各組織でのOTの作用は十分に解明されていない(表)2).本稿ではOTの末梢組織(子宮,乳房),中枢神経での作用とその役割について概説する.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 3.松果体

1) メラトニン

海老澤 尚

pp.1217-1219

はじめに

 メラトニンは主に松果体で産生されるホルモンで,その産生量は体内時計にコントロールされて日内変動を呈し,夜間に高く,日中は低いという概日リズムを示す.また,夜間でも強い光照射により短時間で抑制される.血中濃度は個人差が大きいが,同一被験者では毎日ほぼ一定の日内変動パターンを繰り返し1),性別,女性の月経周期には影響を受けない.血中濃度の変動リズムは深部体温の変動リズムとともに概日リズムの位相を反映する指標として用いられている2)

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 4.甲状腺,副甲状腺

1) 甲状腺ホルモン

松下 明生 , 中村 浩淑

pp.1220-1225

構造

 甲状腺からはトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)の二つのホルモンが分泌される.甲状腺ホルモンの特徴はヨードを含むことであり,脊椎動物ではヨードを含む唯一の体内物質である.チロシンがヨード化され,二つのチロシン骨格が重合した構造をとっている(図1).

2) 副甲状腺ホルモン,カルシトニン

伊東 伸朗 , 福本 誠二

pp.1226-1229

副甲状腺ホルモン(PTH)

1.PTHの構造と作用

 副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)は,副甲状腺で115個のアミノ酸からなるpreproPTHとして合成され,90アミノ酸のproPTHを経て,84アミノ酸,分子量約9.5kDaの蛋白へと変換されるペプチドホルモンである(図1).PTHの分泌は副甲状腺細胞表面に存在するCa感知受容体(calcium-sensing receptor;CASR)を介して,主に血中のイオン化Ca(Ca2+)により調節されている.すなわち血中Ca2+の上昇はCASRを介して副甲状腺細胞内Ca2+濃度を増加させ,PTH分泌を抑制する.逆に血中Ca2+濃度が低下すると,PTH分泌が促進される1,2).また,1,25-水酸化ビタミンD〔1,25(OH)2D〕は,PTH遺伝子の転写を抑制することにより,PTH合成を抑制する.

 PTHは骨と腎臓に作用することにより,血中Caやリン濃度を調節している.このPTHの作用はPTHのN端34個のアミノ酸からなる合成ペプチドPTH(1-34)により再現される3).ただしin vivoで活性を示す分子は,主に84個のアミノ酸からなるPTHであると考えられている(図1).PTHとPTH関連蛋白(PTH-related protein;PTHrP)への共通の受容体として,G蛋白共役受容体の一つである,PTH/PTHrP受容体が同定されている4).このPTHrPは悪性腫瘍に伴う高Ca血症のうち,humoral hypercalcemia of malignancy(HHM)の惹起因子として同定された蛋白で5),系統発生上はPTHと共通の祖先に由来するものと想定されている.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 5.消化管関連

1) ガストリン,コレシストキニン,セクレチンなど

中田 裕久

pp.1230-1234

ガストリン

1.構造,産生,分泌

 ガストリン(gastrin)は胃幽門部粘膜のガストリン分泌細胞(G細胞)で産生され分泌されるペプチドホルモンであり,血液中には34または17アミノ酸からなるガストリン34とガストリン17がおもに検出される.ガストリンは食物中の蛋白質や胃内pHの上昇が刺激となって分泌される.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 6.膵臓

1) インスリン

安孫子 亜津子 , 羽田 勝計

pp.1235-1238

はじめに

 膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンは,糖代謝をつかさどる最も重要なホルモンである.1922年にBantingとBestによって初めてインスリンが抽出され1),糖尿病治療の歴史において偉大な功績を残したことは有名である.また1980年にヒトインスリン遺伝子がクローニングされ2),その塩基配列が決定されたことにより,遺伝子組換え技術でヒトインスリンを大量に製造することが可能となった.

 本稿ではインスリンの基礎,糖尿病におけるインスリン値およびCペプチド値の評価方法,インスリン遺伝子異常について解説する.

2) グルカゴン

武田 純

pp.1239-1242

膵内分泌細胞・小腸細胞とグルカゴン

 膵ランゲルハンス島(膵島)は膵全体の約1%を占める4種類のホルモン産生細胞から構成されており,インスリン(膵島の約70%を占めるβ細胞から分泌)とグルカゴン(膵島の約20%を占めるα細胞から分泌)は血糖の恒常性の維持に重要な働きをしている.膵ホルモンは,自身の細胞または周囲の細胞を制御しながら協調した機能ユニットを構成している(オートクリン,パラクリン).膵島を構成する内分泌細胞は膵島において均一に分布するのではなく,β細胞が中心に位置し,その周辺にα細胞などが分布する.臨床の残存β細胞機能を推定する検査であるグルカゴン負荷試験のように,グルカゴンは最も強力なインスリン分泌刺激ホルモンであり,プログルカゴンを前駆体としてプロセシングにより,グリセンチン関連膵ペプチド(glicentin-related pancreatic polypeptide;GRPP)とmajor proglucagon fragment(MPGF)であるグルカゴン様ポリペプチド(glucagon-like polypeptide;GLP-1,GLP-2)が生成される(図).一方,グルカゴン遺伝子は消化管細胞でも発現しており,エンテログルカゴン(グリセンチン,オキシントモジュリン)とGLP-1は小腸L細胞から分泌されている.組織特異的なプロセシングによる生成物の差異はプロホルモン変換酵素(prohormone converting enzyme;PC1/3,PC2)の作用の違いに基づくと考えられる.血中グルカゴンの特異的な測定にはエンテログルカゴンとの交差反応の少ないC端特異な抗体を用いる.グルカゴン自体は不安定なのでアプロチニンEDTA採血を行い,速やかに血漿を遠心分離後に冷凍保存する.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 7.副腎

1) アルドステロン

西川 哲男 , 大村 昌夫 , 齋藤 淳

pp.1243-1247

はじめに

 血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration;PAC)あるいは,尿中アルドステロン排泄量の測定により副腎球状層機能を判定できる.アルドステロン(aldosterone)は水電解質代謝を調節している.すなわち,高血圧や心血管危険因子として重要なホルモンである.一方,最近の話題は原発性アルドステロン症が高血圧の中に数多く潜んでいて,高頻度に存在する点である.われわれは,1994~1999年の5年間未治療の高血圧症例1,020例を対象として,ベッド上で30分間以上安静臥床後採血し,血漿レニン活性(plasma renin activity;PRA)の測定を行った.PRAが1.0ng/ml/時未満かつPACが12.0ng/dl以上の場合,原発性アルドステロン症(primary aldosteronism)を疑い精査した.最終的には65例(6.4%)が原発性アルドステロン症と確定診断した1).したがって以前考えられているものより,原発性アルドステロン症の頻度は極めて高い疾患と思われる.高血圧診療で初診時にホルモン検索をルーチン化して二次性高血圧症のスクリンーニングをする必要性が高い.

 本稿ではアルドステロンの産生調節,作用機構,病態への関与,さらには,臨床検査ならびに診断法などにつき概説する.

2) グルココルチコイド

岡部 泰二郎 , 柳瀬 敏彦 , 高柳 涼一

pp.1248-1251

構造,産生,分泌

 ヒトのグルココルチコイドはコルチゾールであり図1のような構造をしている.コレステロールを原料にして合成される.ステロイド核の3位の炭素(C-3)とC-20にケト基,C-11,C-17,C-21に水酸基が結合しており,C-4とC-5の間が二重結合になっている.

 コルチゾールは主として副腎皮質束状層において合成されるが,その合成分泌は下垂体副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH)により促進的調整を受ける.副腎皮質からのコルチゾールの分泌は視床下部-下垂体-副腎皮質系により巧妙に調節されている.すなわち下垂体のACTH分泌は視床下部のコルチコトロピン放出因子(corticotropin-releasing factor;CRF)により刺激され,副腎皮質からのコルチゾール分泌はACTHにより促進される.また,コルチゾールはネガティブフィードバック機構によりCRFおよびACTHの分泌を抑制的に調節している.さらに視床下部は上位の大脳中枢および大脳辺緑系の調節を受け,その影響を受けてACTH-コルチゾール系の日内変動やストレス時などの反応機構を形成する.正常人において通常24時間に分泌されるコルチゾールは20mg程度とされ,強力なストレス下では100~300mg程度に増加する.

3) 副腎アンドロゲン

柳瀬 敏彦

pp.1252-1255

構造

 副腎アンドロゲンは通常,デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone;DHEA)とsulfotransferaseによりDHEAに硫酸基が付加されたDHEA-sulfate(DHEA-S)を指す(図1).DHEA,DHEA-Sとも男性ホルモンのテストテロンの約5%程度の弱い男性ホルモン活性を示すことから,副腎アンドロゲンと呼ばれている.

4) カテコールアミン

立木 美香 , 成瀬 光栄 , 田辺 晶代 , 高野 加寿恵

pp.1256-1259

構造

 分子構造の中にカテコール核とエチルアミン構造を持った化合物を総称してカテコールアミンと言う.生体内で機能するカテコールアミンとしてはアドレナリン,ノルアドレナリン,ドーパミンなどがある.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 8.生殖関連

1) アンドロゲン(テストステロン)

河手 久弥 , 柳瀬 敏彦 , 高柳 涼一

pp.1260-1264

はじめに

 アンドロゲンは炭素数が19個のステロイドホルモン(C19ステロイド)の総称で,精巣由来のテストステロンと副腎由来のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA),DHEA-sulfate(DHEA-S)などが含まれる.アンドロゲンとしての生理活性は,副腎アンドロゲンであるDHEAはテストステロンの約5%と弱いことが示されている.

 テストステロンは下垂体から分泌されるゴナドトロピンである黄体形成ホルモン(luteinizing hormone;LH)の刺激により,主として精巣のライディッヒ(Leydig)細胞で産生される強力な男性ホルモンである.テストステロンの95%以上は精巣由来で,残りの5%は主に副腎において,アンドロステンジオンなどの他のステロイドから生成される.血中のテストステロンが増加すると,視床下部からのLH-RHおよび下垂体からのLH,FSHの分泌が抑制されるネガティブフィードバック機構が働き,恒常性が維持される(図1)1)

 テストステロンの多くは,前立腺や肝臓などの末梢の標的器官に取り込まれると,5α-リダクターゼ(5α-reductase)の作用により,ジヒドロテストステロン(DHT)に変換されアンドロゲン作用を発揮する.テストステロンおよびDHTは,標的細胞の細胞質に局在するアンドロゲン受容体(androgen receptor;AR)に結合すると,ARの構造変化を引き起こす.ホルモンが結合したARは細胞質から核へと移行し,標的遺伝子上のアンドロゲン応答配列に結合して,その遺伝子の転写を制御することで生物学的作用を発現する.

 テストステロンは,胎生期には外性器と内性器の分化,思春期には二次性徴の発現,成人においては性機能の維持などにおいて重要な働きをしている.また,最近のAR欠損マウスの解析から,アンドロゲンは骨量増加作用や抗肥満作用を有することが明らかになった2).さらにアンドロゲンは,神経系への作用,筋肉量の増加作用,赤血球産生刺激作用,抗動脈硬化作用なども有している.

2) エストロゲン

高山 賢一 , 井上 聡

pp.1265-1269

構造

 エストロゲンとは女性ホルモンまたは卵胞ホルモンと呼ばれる性ステロイドホルモンである.C18ステロイドであるエストロゲンは付加された水酸基の数により,主にエストロン(E1),エストラジオール(E2),エストリオール(E3),およびエステトロール(E4)がある(図1).そのほかに約30種の天然エストロゲンが発見されている1)

3) プロゲステロン

首藤 聡子 , 工藤 正尊 , 櫻木 範明

pp.1270-1275

はじめに

 血中に分泌された性ステロイドホルモンは標的臓器に選択的に取り込まれた後,細胞質に存在するステロイドホルモン受容体と結合し,複合体を形成する.次いで核内に進入し,クロマチンと結合することによってmRNAを合成し,さらにリボソームによって新しい蛋白合成へ進展し,種々の機能を発現する.性ステロイドホルモンは生物学的にエストロゲン・プロジェストーゲン・アンドロゲンの3つに分類される.プロゲストーゲンとは黄体ホルモン(luteinizing hormone;LH)作用を示す性ステロイドホルモンの総称であり,プロゲステロンは天然に存在するプロゲストーゲンである.

 生殖年齢の女性において血中プロゲステロン濃度は黄体の形成や退行に伴いダイナミックに変化する.プロゲステロンは妊娠の成立・維持に不可欠であり,その産生は正確に調節される必要がある.

 本稿では,プロゲステロンの構造・生合成,代謝,産生・分泌,異常値を示す病態につき解説し,さらにプロゲステロン受容体と疾患に関する最新の知見に関しても簡単に解説することとする.

4) インヒビン/アクチビン

安部 由美子 , 宮本 薫

pp.1276-1280

はじめに

 インヒビンとアクチビンは,卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone;FSH)分泌調節因子として卵巣から単離されたホルモン/増殖因子である.1932年にMcCullaghは下垂体の去勢細胞の出現を抑制する精巣由来の水溶性ホルモンをインヒビンと呼ぶことを提唱した1).その後,卵胞液中にもインヒビン様物質の存在することが報告され,1985年にFSH分泌抑制物質としてインヒビンが2),翌1986年にFSH分泌促進物質としてアクチビンが単離同定された.その後,アクチビンレセプターが同定され,下垂体以外の組織においても細胞の増殖や分化の調節をはじめとする様々な作用を発揮する増殖因子であることが明らかにされている.

各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 9.血管制御因子

1) 一酸化窒素(NO)

中木 敏夫

pp.1281-1286

はじめに

 一酸化窒素(nitric oxide,以下NOと略記)は生体内では酵素によって生成される.NOは血圧調節,血小板凝集抑制,生体防御,中枢および末梢神経系での神経伝達に重要な役割を果たしている.生体内NOを測定する方法,および病態との関連について概略を述べる.

2) エンドセリン

三輪 聡一

pp.1287-1294

はじめに

 エンドセリン(endothelin;ET)は当初培養ブタ血管内皮細胞の培養上清から単離された強力な血管収縮活性を有するペプチドである.その後の研究により,ETファミリーは,ET-1,ET-2およびET-3の3種類からなり,その受容体にはETAおよびETBの2種類があることが明らかにされた.古典的には血管内皮細胞でET-1が産生され,その大部分が血管平滑筋側に分泌され,近傍でのみパラクリン的に作用する.血管平滑筋細胞にはETA受容体が存在し,血管内皮細胞にはETB受容体が存在する.ET-1がETA受容体に作用すると,血管平滑筋細胞内の遊離Ca2+濃度の増加をきたして平滑筋の収縮をきたす.一方,ET-1が血管内皮のETB受容体に作用すると,血管内皮細胞内の遊離Ca2+濃度の増加を誘発して,NO合成酵素の活性化とNO産生の増加をきたし,その結果,平滑筋を弛緩させる.最初の報告によれば,ET-1をラットに投与すると一過性の血圧低下の後,1時間以上続く持続的な血圧上昇がみられたことから,ET-1が生理的および病的条件下で,血圧調節に重要な役割を果たしている可能性が示唆された1).そのために,多くの研究者がそのような証拠を求めて研究を行ったが,期待に反して,血圧調節への関与を示す証拠を得ることが困難であった.また,ET-1のノックアウトマウスを用いた実験では,驚いたことに血圧上昇がみられた2).しかしながら,その後開発されたET受容体遮断薬を用いた研究により,正常血圧調節および高血圧をはじめとする病的状態への関与が次第に明らかになってきた.また,最近肺高血圧症に対する受容体遮断薬の臨床応用が厚生労働省に認可され,下降気味であったET研究に新たな刺激を与えた.本稿ではETの作用,受容体,細胞内情報伝達機構,生理・病態的意義,などについて最近の知見を概説する.

3) ウロテンシンⅡ

成瀬 光栄 , 田辺 晶代 , 立木 美香 , 高木 佐知子

pp.1295-1297

はじめに

 魚類の尾部下垂体は神経内分泌器官として水・電解質代謝の調節にかかわる種々のホルモンを分泌し,その一つがウロテンシンⅡ(urotensin Ⅱ;UT-Ⅱ)である.1999年にAmesら1)は哺乳類のオーファンレセプターGPR-14をHEK-293細胞に発現させ,細胞内Ca増加を指標として生理活性ペプチドをスクリーニングした.その結果,魚類ウロテンシンⅡが特異的な作用を示すことを発見し,次いでヒトUT-Ⅱをクローニングした.UT-Ⅱは強い血管収縮作用と心機能抑制作用1)から臓器障害作用が注目されたが,最近,その臓器保護作用も報告され,新たな展開を示している.本稿ではUT-Ⅱの病態生理学的意義を概説する.

4) グレリン

細田 洋司 , 寒川 賢治

pp.1298-1303

はじめに

 グレリン(ghrelin)は,1999年に筆者らによりG蛋白質共役型のオーファン受容体GHS(growth hormone secretagogue:成長ホルモン分泌促進因子)受容体の内因性リガンドとして,ヒトおよびラットの胃組織から同定されたGH分泌ホルモンである1).グレリンにはGH分泌促進作用のみならず,摂食調節やエネルギー代謝調節機能,循環器系に対する作用も認められ,またグレリンとエネルギー代謝調節に関連する疾患や病態生理とのかかわりも明らかになりつつある.

5) レプチン

小川 佳宏

pp.1304-1307

はじめに

 肥満遺伝子産物であるレプチンは脂肪組織により分泌される代表的なアディポサイトカイン(adipocytokine)であり,レプチン受容体を発現する視床下部に直接作用して強力な摂食抑制作用とエネルギー消費亢進作用をもたらし,肥満の制御や体重増加の抑制に関与すると考えられている.一方,レプチンはエネルギー代謝調節作用以外にも視床下部・下垂体機能調節作用を有することが明らかにされており,多彩な生命現象とエネルギー代謝状態をリンクするメディエーターとして注目されている.本稿ではレプチンとレプチン受容体の診断薬あるいは治療薬としての臨床的意義について概説する.

6) ナトリウム利尿ペプチド

向山 政志 , 中尾 一和

pp.1308-1312

はじめに

 生物は進化の過程で体内に塩分をため込む能力を獲得してきた.そして腎臓の尿細管系が生まれ,次第に複雑化し,またレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(renin-angiotensin-aldosterone system;RAA系)を進化させてきた.それと同時に,体内に過剰となった塩分と水分を速やかに体外に排泄させる機構も発展させてきた.その代表がナトリウム利尿ペプチド系(natriuretic peptide system)である.

 現在RAA系とともに,腎に作用して体液の量と組成および血圧の調節を司る主たる液性因子としてのナトリウム利尿ペプチド系の重要性は論を待たない.そして3種類のナトリウム利尿ペプチドファミリーのうち,心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)は心房から,脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド〔brain(B-type)natriuretic peptide;BNP〕は心室から主に分泌される心臓ホルモンとして,また,C型ナトリウム利尿ペプチド(C-type natriuretic peptide;CNP)は血管内皮や骨,マクロファージや腎尿細管における局所ホルモンとして,それぞれ特異的受容体に働いて作用を発揮することが示されている(図1)1,2).さらに,ナトリウム利尿ペプチドファミリーは心不全や高血圧に際して産生・分泌が亢進し,代償的・臓器保護的に作用することが示されてきた1,2).特に血中BNP濃度が心機能障害の程度と極めてよく相関し,心不全の診断・予後予測・治療効果判定に有用であることが明らかにされてきた3)

 本稿では,ナトリウム利尿ペプチドの測定および病態における意義について,主に臨床的視点から最近の知見を含め紹介する.

7) アドレノメデュリン

北村 和雄

pp.1313-1317

構造

 アドレノメデュリン(adrenomedullin;AM)はヒト褐色細胞腫組織から発見された強力な血管拡張性ペプチドであり,分子内に6個のアミノ酸よりなるリング構造とC末端のアミド構造を有している(図1)1,2).ヒトAMは52個のアミノ酸からなり,CGRP(calcitonin gene-related peptide)やアミリンと一部相同性を有し,一つのファミリーを構成している.最近,Takeiら3)は遺伝子側からの検索により,AMに続くアドレノメデュリン2(AM2)やアドレノメデュリン5(AM5)の存在を明らかにした.

 一方,ヒトAMの前駆体の構造は図1に示すように21個のシグナルペプチドを含む185個のアミノ酸よりなりなる4).AM配列の両サイドは典型的なプロセッシングシグナル(LysArgもしくはArgArg)で囲まれており,C末端のTyrに続くGlyはC末端アミド構造の供与体になると考えられる.さらに,AMの前駆体からは,C末端にArgアミド構造を有した新しい生理活性ペプチドがAMとは別に生合成されることが明らかとなっており,このペプチドはPAMP(proadrenomedullin N-terminal 20 peptide)と命名された(図1).

各論Ⅱ 多臓器,組織におけるホルモン相互間作用

1.カリクレイン-キニンシステム

吉田 英昭 , 島本 和明

pp.1321-1325

はじめに

 古典的カリクレイン-キニンシステム(kallikrein-kinin system,K-K系)には,酵素学的・生化学的に全く異なる血漿K-K系と組織K-K系の2種類がある.前者は血液の凝固や線溶系,炎症,補体活性化などに関与するが,後者は血管壁,腎臓,唾液腺,膵臓,腸管などに存在し,これら諸臓器・組織の機能調節に関与する.本系の生理活性物質であるキニンは血管平滑筋を弛緩させて血管拡張作用を示し,腎では尿細管において水・Na利尿作用を示す.したがって組織K-K系は血管壁と腎臓での作用を介して血圧調節,水・Na代謝に重要な役割を担っていると考えられ,この系の機能異常が高血圧の成因に関与している可能性がある.また,ヒトや動物実験ではレニン-アンジオテンシン系と密接に関連している成績も数多く報告され,最近では徐々にK-K系の遺伝子多型と高血圧の解析も進むなど,古くて新しい生理活性物質といえる.

 さらに最近の分子生物学的研究やヒトゲノム研究から,ヒトカリクレインファミリーは常染色体19番長腕に存在し,様々なセリンプロテアーゼを作る遺伝子をコードしていることが明らかにされた.そして,これまで別の蛋白質や酵素をコードする遺伝子として報告・検討されてきたものが実は同一のものであるなど,命名や分類に混乱をきたしていたことから,古典的なカリクレイン(KLK1)を除いて,新たにカリクレイン関連ペプチダーゼ(kallikrein-related peptidase)として分類されることとなった1).このような新しい発見と系統立った整理により,再生医学,皮膚科学,神経学,歯科学,癌など,これまでそれぞれの分野で独自に検討されていたものがより広い視野で総合的に論議されるようになった.例えば,前立腺癌のマーカーとして頻用されているPSA(prostate-specific antigen:前立腺特異抗原)もカリクレイン関連ペプチダーゼの一つである.本稿では血圧調節や組織障害にかかわるK-K系について概説する.

2.レニン-アンジオテンシンシステム

吉本 貴宣 , 平田 結喜緒

pp.1326-1329

はじめに

 レニン-アンジオテンシンシステム(renin-angiotensin system;RAS)は水・電解質代謝,循環血液量および血圧・血行動態維持などの多彩な機能を担う重要な内分泌系である1).腎臓の傍糸球体細胞から分泌されたレニンにより,主に肝臓で産生された循環血中のアンジオテンシノーゲンがアンジオテンシン(Ang)Ⅰに,さらに肺血管床や血漿中に存在するAng変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)により生理活性AngⅡにプロセッシングされる(図1).AngⅡは心,血管,腎,中枢神経系,など広く分布するAngⅡ受容体(主としてAT1受容体)に作用し血管収縮,水・Na再吸収,交感神経刺激作用,食塩摂取行動を刺激する.AngⅡは副腎皮質球状層に作用し,ミネラロコルチコイドであるアルドステロン(aldosterone;Aldo)の合成・分泌を刺激し,Aldoを介して腎集合尿細管での水・Na再吸収およびK排泄作用に作用する1).すなわち内分泌系としてのRASはAngⅡに加えAldoの作用により全身性レニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステム(renin-angiotensin-aldosterone system;RAAS)を形成する.全身性RAASに加え,最近では,心血管系に代表される局所でAngⅡが産生され,オートクリン・パラクリンとして作用する局所RASという概念も確立し2,3),心血管疾患を含めた臓器障害の発症・進展に関与することもわかりつつある.本稿では主に全身性RASの動態と病態生理について臨床的に重要である血漿レニン活性(plasma renin activity;PRA)と血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration;PAC)を解説する.

3.骨代謝

吉田 守美子 , 遠藤 逸朗 , 松本 俊夫

pp.1330-1336

はじめに

 骨は生体の支柱として姿勢の保持や運動機能に必須であるばかりでなく,内臓や中枢神経系を保護するとともに,内包する造血組織による造血や血中カルシウム・リン濃度の維持に貢献するなど様々な機能を果たしている.また,骨は種々のホルモンの“動的”標的器官として新たな知見が蓄積されつつある.本稿では各種ホルモンが骨代謝に及ぼす影響について,その相互作用や基礎的検討結果,さらに臨床応用も含めて概説するとともに,骨代謝マーカーの測定意義についても述べる.

4.消化とホルモン

奥村 利勝

pp.1337-1342

はじめに

 消化とは摂取した食物の酵素による化学的粉化であり,この過程には胃液・膵液などの消化管腔内に分泌される消化液が重要な役割を果たす.消化管ホルモンはセクレチンやガストリンなどすでに発見以来100年以上経過しているものから,グレリンのように発見後10年に満たないものまで多数報告されている.これらの消化管ホルモンの多くは脳腸ホルモンとも呼ばれ,消化管や膵臓の内分泌細胞のみならず中枢神経系の神経細胞にも存在する.これらのホルモンは内分泌ホルモンとしてだけでなく,分泌局所で作用したり,神経伝達物質としても作用し胃液膵液分泌に関与する.以上の知見は胃腸の生理機能調節は消化管ホルモンが神経系と密接に連携して行われていることを裏付けている.通常のペプチドホルモンに加え,種々のアミンやnitric oxide(NO)なども広義の消化管ホルモンと考えられている.見方によってはインターロイキン1(interleukin-1;IL-1)のようなサイトカインも同じ分類に入る.

 中枢神経系により胃酸分泌や腸管運動などの消化器機能が調節されることは,実験動物の中枢神経を刺激または破壊するといった古典的な生理学的手法を用いて古くより明らかにされていた.1980年頃から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin-releasing hormone;TRH)や副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone;CRH)といった視床下部ホルモンが従来の内分泌軸を活性化するのみならず,中枢神経系に作用して胃酸分泌などの消化器機能調節にかかわる神経ペプチドであることが明らかにされ,ホルモン(神経ペプチド)と脳腸相関の研究が進展した1).本稿では脳腸相関の視点で捉える胃液・膵液分泌におけるホルモンの役割を自験の知見を中心に概説する.

5.水代謝の調節

石川 三衛

pp.1343-1346

はじめに

 体内の水分は体重の約60%を占める.これは細胞内液と細胞外液として存在し,細胞内液は全水分量の2/3,細胞外液はその1/3である.水代謝はこの水分の出納および体内分布をつかさどる調節系である.体内に入る水分は,経口的に摂取する水や食物の水分,体内での栄養素のエネルギー転換に伴う燃焼水である.一方,体外へ失われる水分は,尿・大便・汗や不感蒸発によるものが挙げられる.生体の水代謝調節は,尿濃縮と飲水行動による.尿凝縮は,腎の高張能維持とバゾプレシン(vasopressin;AVP)の分泌と腎作用に依存する.腎糸球体で濾過される水分は1日約150lに達するが,その90%が近位尿細管およびヘンレの下行脚で受動的に再吸収される.残りの10%が集合尿細管でAVPの作用により能動的に再吸収される.また,飲水は渇中枢を介して行われる.

6.性周期(月経)

橋場 剛士 , 吉村 泰典

pp.1347-1350

性周期とは

 女性の性周期の目的は,一つの成熟卵子を卵巣から放出すること,さらに,受精により発生する胚が着床できるように子宮内膜を準備することであると考えられている.

 成熟卵子とは,第一減数分裂を完了し第1極体を放出し,第二減数分裂中期に入り,細胞質に初期発生に必要な分子が蓄えられた卵子である1).出生時の卵巣には約200万個の卵子が存在するが,その後徐々に減少を続け,思春期には40万個程度となる2).卵子を含む卵胞の被膜が破綻し,卵子が卵胞外に放出されることを排卵というが,生殖年齢期間中におおよそ400個の卵子のみが排卵される2)

7.妊娠,授乳

山田 秀人

pp.1351-1354

妊娠による母体内分泌系の変化

1.視床下部-下垂体前葉-卵巣系

1) 下垂体ゴナドトロピン

 黄体化ホルモン(luteinizing hormone;LH)の分泌量は,正常月経周期の卵胞期に比べて妊娠2~3か月までは60~80%に,妊娠5か月以降分娩までは50%以下に抑制される.卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone;FSH)の分泌も非妊娠時に比べて50%以下に抑制される.このように,下垂体ゴナドトロピンの分泌は,エストロゲンを主体とする性ステロイドホルモンならびにヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin;hCG)などの胎児-胎盤系ホルモンによって,妊娠中は抑制され,分娩後,胎児-胎盤系ホルモンの減少とともに約1か月で回復する.

8.エネルギー代謝

齋藤 幸枝 , 上野 浩晶 , 中里 雅光

pp.1355-1360

はじめに

 生体はエネルギーバランスの恒常性維持機構を有しており,その調節系が正常に作動する限り,体脂肪量は一定に保たれる.このエネルギーバランス調節機構の中心に視床下部があり,摂食行動およびエネルギー代謝を制御している.近年,摂食調節やエネルギー代謝調節のメカニズムは,摂食やエネルギー代謝にかかわる新規物質の同定やその遺伝子改変動物,および食餌誘導性肥満動物モデルなどを使用した研究により次々と明らかになっている.脂肪組織,消化管,膵臓から産生される末梢由来のホルモンや代謝産物,遠心性および求心性の自律神経系,脳内の各種神経ペプチドがその調節系を駆動する情報伝達系として機能している.本稿では最近の報告を含めて,中枢神経系におけるエネルギー代謝調節の分子機構について概説する.

9.心血管内分泌

宮森 勇

pp.1361-1366

はじめに

 心臓および血管細胞がナトリウム利尿ペプチドをはじめエンドセリンなど血管作動性ホルモンを産生し,局所および血液循環を介して血管収縮性や体液平衡を制御していることが明らかとなっている.また,内分泌臓器で産生されるホルモンの中には心血管に直接作用して循環調節に関与するものもある.すなわち,ホルモンと心血管は従来考えられていた以上に深く関連していると考えられる.このような領域の進歩と発展を期してわが国でも心血管内分泌代謝学会が設立され,新規の血管作動物質の作用や診断や治療に対する応用が多数報告されている.このうち利尿ペプチド,RAS(renin-angiotensin system)系は他稿で述べられており,本稿ではステロイドホルモンと心血管について概説する.

10.炎症と内分泌機構―重篤な病態の急性期・慢性期における視床下部下垂体系の反応を中心に

髙野 順子 , 髙野 幸路

pp.1367-1372

はじめに

 炎症とは生体がなんらかの侵襲刺激を受けたことに対する免疫応答の結果,生ずるものである.このような反応を惹起する侵襲刺激としては感染症,熱傷,外傷,自己免疫疾患,アレルギー疾患など様々な機序のものが含まれ,生体への身体的ストレスの代表的なものである.

 内分泌機構は生体の恒常性を保つ働きをしている.いわば外界と生体の各臓器との間のインターフェース,および生体内の各臓器間の調整役である.生体に身体的・精神的ストレスが加わると内分泌機構はそれに対する適応反応(adaptive response)として一連の反応を示す.内分泌機構のストレス応答には侵襲刺激の種類によらない普遍的な応答の要素と,それぞれの刺激に固有の応答の要素とがある.

 ここでは炎症は身体的ストレスとして作用して内分泌系に影響を与えるとの立場に立ち,知見が比較的得られている重篤な身体的ストレスに対する内分泌系の普遍的な応答について主に述べたい.

 ストレス応答に中心的な役割を果たす系は二つあり,一つは自律神経-副腎髄質系,もう一つは間脳下垂体副腎(hypothalamo-pituitary-adrenal;HPA)系である.副腎髄質系の産生するカテコラミンは“闘争か逃走か”(fight or flight)という状況に対して生体を備え,エネルギー源としての糖の動員,心拍数の増加や気管支の拡張,血流の再配分(骨格筋への血流を増加させ,皮膚や消化器への血流を抑える)を起こす.臨床の場でショックの際に循環維持のためにカテコラミンが用いられるのは周知のとおりである.

 一方,HPA系が産生するコルチゾールは生体のストレスへの耐性を発現させる.生体はコルチゾールの欠乏を非ストレス時にはかなり耐えうるが,ストレス時には致命的であることからも,そのことは窺える.コルチゾールも血糖の動員を起こすほか,異化の亢進,免疫系の抑制をきたす.

 HPA系をなすACTHを含む下垂体前葉ホルモンは全身の代謝,免疫能,性機能の調節など広範な機能を有しており,ストレス下でなんらかの影響を受けることは容易に理解される.近年,生命維持のための集中治療を要するような重篤な状態(critical illness)における間脳下垂体系の応答がかなり解明され,特に受傷後数時間から数日間の急性期と,7~10日目以降の慢性期で全く異なる反応をすることがわかってきた(図1)1~3).以下,本稿ではストレス時に劇的な変化をする視床下部下垂体系に絞り,概観した後に各論を述べる.最後に臨床検査の目的である臨床へのフィードバックに鑑み,このような病態を内分泌学的に治療するべきかどうかについての見解を紹介する.

11.加齢,老化

宮尾 益理子 , 大内 尉義

pp.1373-1378

加齢に伴うホルモン分泌の変化

 加齢に伴って最も劇的でよく知られる内分泌的変化は,女性における卵巣機能の低下により生じる閉経である(menopause).そのほか,GH-IGF-1系のGH(growth hormone:成長ホルモン),IGF-1(insulin-like growth factor-1),男性の視床下部-下垂体-性腺機能系であるテストステロン(testosteron;T),副腎皮質機能系のデヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone;DHEA),その硫酸塩(DHEA-sulfate;DHEA-S)濃度の直線的な低下が知られ,menopauseにならってsomatopause,andropause,adrenopauseと呼ばれる(図1)1).加齢に伴う変化に関し,各年代での正常値が概ね求められ,各臓器の機能低下,骨粗鬆症,動脈硬化性疾患,筋力低下,記憶保持,認知機能などとの関連が推測され,抗老化作用を期待してそれぞれのホルモンの補充療法も行われている.一方,副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH),副腎皮質ホルモン(コルチゾール,アルドステロン),甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH),甲状腺ホルモンなどの個体の生命維持に関係するこれらのホルモンの加齢変化は比較的少ない.視床下部ペプチドであるドパミン,ノルアドレナリン,セロトニン,コリンは一般的に減少することが知られている2)

コラム

骨溶解の分子作用機序

通山 由美

pp.1336

 骨は常に再構築されており,骨内部では破骨細胞が骨を溶解し(骨吸収),それを補うべく骨芽細胞が再形成を行っている.骨粗鬆症や関節リウマチ,癌の骨髄転移など骨破壊が亢進している病態では,破骨細胞の機能を制御する観点からの治療法が求められる.われわれの研究室では,ヒト末梢血由来のマクロファージおよびヒト白血病細胞株を破骨細胞様に分化させるin vitro実験系を構築し,破骨細胞による巧妙な骨溶解機構を見いだした.

 破骨細胞は多核化した特殊なマクロファージで,カテプシンKなどの骨溶解酵素を含む酸性顆粒を骨表面上の密閉された空間に放出して骨を溶解するが,骨溶解の分子機構は未解明であった.そこでわれわれは骨溶解を開始する因子を探索し,エネルギー分子であるATPが破骨細胞のP2X7受容体を介して,骨溶解の遂行に必須の二つのプロセス,骨表面上に密閉空間をつくるための接着帯の形成と骨溶解顆粒の集積・放出を促すことを見いだした.

アクアポリンと脳浮腫治療

高柳 猛彦 , 祖父江 和哉

pp.1366

 脳浮腫は,脳の容積増加を伴う水の異常集積と定義される.頭部外傷,脳出血,脳梗塞,脳腫瘍などの疾患に付随して発症する病態であり,救急・集中治療領域において日常的に遭遇する.脳浮腫の悪化は,二次的神経損傷を起こすだけでなく,脳ヘルニアを引き起こし死につながるため,その治療は重要であるが,現行の治療法には明らかな限界がある.脳浮腫は古くからある概念であるが,発生機序は十分にわかっておらず,その解明は新たな治療法開発につながる可能性がある.

 アクアポリン(aquaporin;AQP)は,水を選択的に通過させるチャネルとして1992年に発見された1).脳における発現は,1994年Hasegawaら2)により初めて報告されて以来,脳浮腫に関係しているという報告がなされている3).最近では,脳外傷や脳腫瘍などの様々な障害によってAQPの発現が増強することがわかってきている.AQP4ノックアウトマウスを用いた検討によると,急性水中毒や脳虚血により脳浮腫を作成すると死亡率が改善されることから,AQPは脳浮腫の発症あるいは進行に関与している可能性がある.一方,同じAQP4ノックアウトマウスに血管原性浮腫を作成すると,脳浮腫の治癒の遅延が報告されており,AQP4は脳浮腫の増悪因子であると同時に,治癒過程にも関与する可能性が示唆されている.このように,脳浮腫の過程において,AQPの機能には二面性があると思われる.

サイログロブリン遺伝子異常と甲状腺腫

菱沼 昭 , 家入 蒼生夫

pp.1183

 サイログロブリン(Tg)遺伝子異常というと,重症の機能低下症と考えられがちであるが,必ずしもそうではない.諸外国では重症例の報告が多いが,日本では軽症例が多い.特に,マススクリーニング開始前の1979年以前の出生例では,原因不明の腺腫様甲状腺腫として診断されている.甲状腺機能は正常~軽度機能低下である.1979年以降の出生例では約3/4の症例がマススクリーニングで発見されているが,約半数は機能低下が軽度のため,治療は中断されているか,全く治療は受けていない.日本で軽症例が多い原因はヨード摂取が十分でホルモン合成障害を補っていると推測される.

 Tg遺伝子異常による甲状腺腫は,若年期より存在する軟らかい甲状腺腫で,血流は豊富である.これらは他のホルモン合成異常症と共通する特長であるが,さらに,ヨード摂取率が高値で,有機化障害がなく,血清Tg値は甲状腺腫が大きいわりには低値である場合,Tg遺伝子異常を疑う.後者の機序は,異常Tgは細胞内を正常に輸送されず,小胞体に蓄積するためである(小胞体貯蔵病).したがって,組織的には濾胞内にコロイドが欠乏している.

生殖神経内分泌学の新たな展開―GnIHとキスペプチンの発見

筒井 和義

pp.1207

 1970年代初めにSchallyとGuilleminにより生殖腺刺激ホルモンの放出を促進させる脳ホルモンである生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone;GnRH)が哺乳類の視床下部から発見された.一方,生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する脳ホルモンの存在は長く不明であったが,2000年にわれわれは生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する新規の脳ホルモンを鳥類の視床下部から発見して生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(gonadotropin-inhibitory hormone;GnIH)と名付けた.

 GnIHは視床下部の室傍核にあるGnIHニューロンで合成される.GnIHニューロンにはMel1cというメラトニン受容体が存在しており,メラトニンはこの受容体を介してGnIHの発現を誘導する.GnIHは正中隆起にあるGnIHニューロンの終末から分泌され,下垂体に存在するGnIH受容体(GnIH-R)を介して生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する.また,GnIHニューロンはGnRHニューロンにも投射しており,GnIHは下垂体のみならずGnRHニューロンに作用して生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する.われわれの一連の研究により,GnIHの作用により,生殖腺の発達と機能が抑制されることが明らかになった.GnIHはヒトを含めた哺乳類にも存在することから,生殖機能障害の新しい治療薬の開発に向けたGnIH研究が今後期待される.

摂食と体内リズム

安倍 博

pp.1242

 “食事時間が体内時計をリセットできるか?”

 サーカディアンリズムの昼夜周期への同調は,特定時刻の光が体内時計をリセット(位相変位)することで生じる.同じメカニズムで,食事時間が体内時計をリセットできるのかどうか(体内時計の摂食周期への同調)は,生体リズム研究の課題の一つである.しかし,従来のラットなどの研究では,体内時計中枢である視交叉上核(suprachiasmatic nucleus;SCN)の振動体(中枢時計)は,摂食周期(restricted feeding,摂食を一定時刻の数時間に制限するスケジュール)により影響を受けない.一方,SCN外に存在するとされる第2の時計(末梢時計)は摂食周期に同調する.これらのことは,摂食周期下での行動リズムやPer1などの時計遺伝子リズムから確かめられている1).摂食に同調する末梢時計の局在は,最近では視床下部背内側核(dorsomedial hypothalamic nucleus;DMH)が有力候補であるとする報告がある2)が,反論もあり,まだ確証はない1)

副腎再生

岡部 泰二郎 , 柳瀬 敏彦 , 高栁 涼一

pp.1247

 副腎,性腺の発生,分化に必須の転写因子としてAd4BP/SF-1が知られている.われわれは骨髄の間葉系幹細胞にAd4BP/SF-1を強制発現させることによりステロイド産生細胞に分化させることができることを見いだした1).権藤が,マウスの骨髄由来の細胞を造血幹細胞の長期培養系であるDexter culture下で長期間,付着細胞のみを培養することにより,多分化能をもつ間葉系幹細胞様の細胞を濃縮できることを見いだしたことがこの発見の端緒になった.組織幹細胞である間葉系幹細胞と異なり,ES細胞においてAd4BP/SF-1を強制発現させても同様な現象は認められず,レチノイン酸またはcAMPを介した刺激下に,ごく一部のステロイド産生が誘導されるのみである.このことは,間葉系幹細胞がステロイド産生細胞に分化しやすいことを示しているのかもしれない.牛の副腎に副腎皮質の幹細胞が存在することを報告した研究はあるものの,われわれと同様な研究は世界的にみても皆無であり,唯一,宮本らのグループが報告しているのみである2)

 ステロイド産生細胞の再生などしなくてもステロイド薬を服用すればよいではないかと考えられる読者も多いと思われるが,ステロイド産生細胞をin vivoで投与することができれば,生体内の内分泌的な調節下にステロイド産生を行うことが可能になりうるため,意義は大きいと思われる.われわれはマウスのみでなくヒトの細胞系でも3),また骨髄のみでなく脂肪組織由来の間葉系幹細胞からも同様な現象を観察している.

脳の性差発現

佐久間 康夫

pp.1269

 男女の脳に違いがあることは,男女の立ち居振る舞いに相違があることから推論できよう.実際,画像診断により,複数の脳部位に性差があることが判明している.強い情動刺激が扁桃核に起こす反応が男女で異なることも,機能的磁気共鳴画像(fMRI)から明らかになった.ラットやサルでは生殖内分泌調節にかかわる脳部位の性差が性ホルモンの作用で生じる.ヒトでも副腎酵素欠損による副腎過形成症で,男性ホルモン分泌過剰により女児の遊びのパターンが男性化し,リポイド過形成症(Prader病)により男性ホルモン分泌が欠損する男児では遊びが女性化する.ただし,実験動物で再現できるこれら性ホルモン依存性の脳の性分化がどこまで一般化できるかは不明で,性ホルモン作用は環境要因の一つにすぎない可能性もある.実際,雌の哺乳類ではラットやサル,ヒトでさえも妊娠や子育てを経験するとオキシトシンやプロラクチン,それらの受容体発現を通じて脳の構造が変わり,行動が変化する.これまで比喩的に言われてきた「行動が脳をつくる」可能性が科学的に確かめられつつある.

男性更年期障害

伊藤 直樹

pp.1294

 男性更年期障害はうつ,いらいら,神経質といった精神・心理症状,ほてり,発汗,関節痛,筋力低下などの身体症状,性欲低下,勃起力低下などの性機能症状と様々な症状を呈する症候群である.女性の更年期障害と異なり,全例で血中テストステロンが低下するわけではなく,そのなかで血中男性ホルモンが低下している症例をLOH(late-onset hypogonadism:加齢男性性腺機能不全)症候群として男性ホルモン補充療法の対象としている.すなわちLOH症候群は「男性ホルモンの低下に起因する症候群であり,特有の症状を呈する」と定義される.

 LOH症候群の診断基準として欧米では血中総テストステロン値が用いられ231~346ng/dlあたりをボーダーラインとしているが,本邦では血中遊離テストステロン値を指標として,20歳代健常男性のmean-2SD値である8.5pg/mlを下回り,前述したような症状を有する場合LOH症候群と診断している.実際,最近の大規模な疫学研究により,血中テストステロン低下が肥満,筋肉量低下,骨密度低下,認知力低下,気分障害,心血管系疾患,QOLの低下,性機能障害などと関連することが明らかとされつつある.テストステロンの低下がメタボリックシンドロームのリスクファクターであることも認められている.さらに,テストステロンの低下と癌罹患率の上昇や死亡率の上昇との関係まで報告され,テストステロンの重要性が再認識されはじめている.

脳内ナトリウム利尿ペプチドと発熱

渡邊 達生

pp.1317

 血圧低下やナトリウム利尿を起こすホルモンとして,心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)が知られている.一方,細菌性内毒素は発熱性サイトカインの産生を刺激して発熱を引き起こすものと理解されている.

 近年われわれは,脳内のナトリウム利尿ペプチドとその受容体が細菌性内毒素による発熱と,発熱性サイトカインの産生を抑制している事実を発見した1).具体的には,細菌性内毒素の静脈内投与による3相性発熱の3相目は,ナトリウム利尿ペプチド受容体拮抗薬の脳室内投与により有意に増強した.ANPを脳室内に投与すると,細菌性内毒素による発熱の3相目は有意に抑制された.したがって,脳内のナトリウム利尿ペプチドは細菌性内毒素による発熱性サイトカイン産生を抑制して,発熱を抑制しているものと推察される.

あとがき フリーアクセス

伊藤 喜久

pp.1380

 ホルモンは,特定の臓器,組織から体内に分泌され,血液,体液により遠隔の臓器,組織細胞に運ばれ,ここで機能促進,抑制に作用する生理活性物質です.今や微小環境に作用し,血液凝固,免疫応答など広く生体全体の機能を制御する物質として位置づけられています.近年の分子生物学の飛躍的な進歩により,細胞レベルでホルモンの産生から作用機序まで,新たな知見が数多くもたらされています.

 検査として生物活性測定は煩雑で,ほとんどが抗原抗体反応の原理に基づく免疫測定法により質量濃度として測定されています.一般的に低分子であることから,affinity・avidity・specificityの高い抗体はなかなか得られません.さらにはBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド),NT-proBNPにみられる交差反応が,PSA(キモトリプシン様物質)では遊離型と高分子重合体との間のequimolarityを乗り越えなければならず,これらが科学的に解決されたとしても実際の臨床の現場における診療能を高めるために,極端に言えば測定値を合わせる形での妥協が求められるなど,個別に細かに対処する難しさがあふれています.将来,核酸アプタマーが,成分特性にマッチして新たな武器として見いだされるかもしれません.すべてとは言えないまでも,MS(質量分析法)は確かに新たな時代の到来を象徴するものです.その開発自体が臨床的意義の拡大に直結しており,例えばステロイドホルモンの測定は,ステロイド病態解析プロファイルを即実現します,今やトリプシン処理後のアミノ酸フラグメントにより検量線が立てられ,完全構造によるものと全く遜色がない結果が得られる成分も登場してきました.Berson,YalowのRIA(ラジオイムノアッセイ)から始まり,MSに至る,蛋白質検査のコアはまさにホルモンにあり,確固たる研究基盤の伝統は生き続けています.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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