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血清グリカンプロファイルの定量的測定による乳癌の診断と予後
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.1586 - P.1586
文献購入ページに移動 糖化蛋白質はグリカン構造の高次機能を介して細胞間相互作用などの役割を担っており,異常な糖化は癌に関係している.著者らは乳癌患者(StageⅠ~Ⅳ82人)および疾患のない女性27人を対象として質量分析法により血清グリカンの糖化プロファイル分析を行った.血清糖化蛋白質は酵素学的に脱蛋白化し,遊離グリカンは質量分析前に活性炭マイクロカラムを用いて精製し,定量的に過剰メチル化した.質量分析データの解析には,分散分析法や主成分分析法を含む種々の統計学的方法を適用した.ROC分析および分散分析法による統計学的解析により,いくつかのシアル化およびフコース化N -グリカン構造が有望なバイオマーカーとして意味付けられた.癌の病期(stage)に関係した定量的変化はグリカンを分子サイズ,オリゴマー分岐数および糖鎖残基量により分類したときに認められた.8種のN -グリカンの相対強度変化は乳癌に特有であることが異なる統計学的評価により独立的に確認された.グリカン構造におけるシアル化およびフコース化の増加は癌進行を示唆するものと考えられた.
参考文献
Kyselova Z, Mechref Y, Kang P, et al:Breast cancer diagnosis and prognosis through quantitative measurements of serum glycan profiles. Clin Chem 54:1166-1175, 2008
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