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今月の主題 歯科からみえる全身疾患 トピックス
ラクトフェリンによる口腔症状の緩和
著者: 玉置幸道12 北村政昭12 清水友12 安藤邦雄2
所属機関: 1昭和大学歯学部歯科理工学教室 2歯科ラクトフェリン研究会
ページ範囲:P.459 - P.464
文献購入ページに移動ラクトフェリンは1939年に発見された,牛乳から単離された分子量約8万の糖蛋白質で,乳,涙など各種の分泌液および成熟好中球の顆粒に含まれている.特に,人の初乳はラクトフェリンを多量に含み,新生児は一日あたり7~10グラムのラクトフェリンを摂取している.個々の乳成分は単に栄養要求を充足するばかりでなく,多様な生理的機能性を持っている.哺乳類のなかで,人はラクトフェリンに対する依存度が非常に高いと推定される.
ラクトフェリンは表1に示すように免疫賦活作用1),抗炎症作用2),鎮痛作用3),抗菌活性4),発癌予防5),癌による血管新生阻害6),脂質代謝改善7)などの多種多能な機能を有することが明らかとなり,免疫的寛容を導入する作用,癌ならびに慢性炎症により誘導される血管新生を阻害する作用,内因性および外因性のμオピオイド効果を増幅する作用など,多様な面を併せ持つ多機能蛋白質である.
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