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今月の表紙 臨床微生物検査・4
ペニシリン耐性肺炎球菌
著者: 八田益充1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野
ページ範囲:P.362 - P.365
文献購入ページに移動 肺炎球菌はヒトの鼻咽頭に常在しているが,肺炎や気管支炎,副鼻腔炎,中耳炎などの広義の気道系感染症のほか,敗血症や髄膜炎などの致死的感染症の原因としても重要である.菌体の最外側にある莢膜多糖体の抗原性により,90の血清型に分類されている.
グラム染色では,グラム陽性の双球菌あるいは短い連鎖状の球菌として認められる.肺炎球菌感染症におけるグラム染色の有用性は高く,良質の検体において,多数の多核好中球とともにこのような菌を認め,貪食像が確認できる場合,肺炎球菌による感染症の可能性が極めて高い.ある報告では,血液培養が陽性となった肺炎球菌性肺炎患者において,抗菌薬投与前の良質な喀痰のグラム染色の感度は80%であった(喀痰培養の感度93%)1).肺炎球菌による髄膜炎では,髄液グラム染色の感度は90%であった2).肺炎球菌性肺炎患者におけるグラム染色の一例(治療前,治療後)を図1に示す.
グラム染色では,グラム陽性の双球菌あるいは短い連鎖状の球菌として認められる.肺炎球菌感染症におけるグラム染色の有用性は高く,良質の検体において,多数の多核好中球とともにこのような菌を認め,貪食像が確認できる場合,肺炎球菌による感染症の可能性が極めて高い.ある報告では,血液培養が陽性となった肺炎球菌性肺炎患者において,抗菌薬投与前の良質な喀痰のグラム染色の感度は80%であった(喀痰培養の感度93%)1).肺炎球菌による髄膜炎では,髄液グラム染色の感度は90%であった2).肺炎球菌性肺炎患者におけるグラム染色の一例(治療前,治療後)を図1に示す.
参考文献
1) Musher DM, Montoya R, Wanahita A:Diagnostic value of microscopic examination of Gram-stained sputum and sputum cultures in patients with bacteremic pneumococcal pneumonia. Clin Infect Dis 39:165-169, 2004
2) Gray LD, Fedorko DP:Laboratory diagnosis of bacterial meningitis. Clin Microbiol Rev 5:130-145, 1992
3) Fuller JD, McGeer A, Low DE:Drug-resistant pneumococcal pneumonia:clinical relevance and approach to management. Eur J Clin Microbiol Infect Dis 24:780-788, 2005
4) 賀来満夫,金光敬二,國島広之,他:肺炎球菌およびインフルエンザ菌における薬剤耐性の検討―開業医および大学病院臨床分離株での比較.化学療法の領域 23:1318-1325, 2007
5) Inoue M, Kaneko K, Akizawa K, et al:Antimicrobial susceptibility of respiratory tract pathogens in Japan during PROTEKT years 1-3(1999-2002). J Infect Chemother 12:9-21, 2006
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