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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻4号

2008年04月発行

文献概要

海外文献紹介

フィブリノーゲンBβ鎖の変異型は有望な膵炎の長寿命マーカー

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部

ページ範囲:P.401 - P.401

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 著者らはフィブリノーゲンの遺伝的変種の研究中に対照者の1人におおよそ128Daの分子量減少を伴う新しいBβ鎖の変異型を見いだした.その血漿試料は1週間前に急性膵炎を経験した個人に由来したが,血清アミラーゼ活性は正常に回復していた.そこで,変異型フィブリノーゲンの構造および膵疾患との関係について調べた.フィブリノーゲンは膵アミラーゼが増加し(114~1,826U/l),膵炎が推定された9人およびアミラーゼ活性が<56U/lの対照者の血漿から分離した.フィブリノーゲンBβ鎖はHPLC法により分離し,質量分析法により直接分析した.トリプシンとCNBrによるペプチドmappingおよびトロンビン処理を用いて128Daの分子量減少の位置が特定された.獲得されたフィブリノーゲンBβ鎖変異はC末端グルタミン残基の欠損によっていた.精製フィブリノーゲンが膵carboxypeptidase Aとともに加温されると,同一の変異が生じた.このBβ鎖変異は,高アミラーゼ活性を示した個人のうちの3人では,Bβ鎖の80%を占めたが,対照では5%にすぎなかった.フィブリノーゲンは循環半減期が4日と長く,膵疾患のマーカーとして有望である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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