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Coffee Break
昭和22年ニセコで猛吹雪のなか遭難しかかった想い出
著者: 佐々木禎一1
所属機関: 1元札幌医科大学附属病院検査部
ページ範囲:P.636 - P.636
文献購入ページに移動 私が北大スキー部に入った昭和22年,「第1回ニセコ滑降大会」に出場した.当時終戦直後で,食糧持参で麓の鯉川温泉に宿泊したが,朝から吹雪模様であった.当時は特定の滑降コースもなく,早朝ゴール地点のテラスと呼ぶ平地から,役員・選手一同スキーにシール(アザラシの皮)を付け,横に並び話をしながらコースを踏き固めつつ約5時間もかけて,出発点の頂上に到達した.
頂上は樹一本なく白一色の猛吹雪で,役員達は完全装備で掘った雪洞の中,ウイスキーの角瓶を口にしながらゴールと電話で連絡を取り頑張っていた.われわれもその辺りで冷たい握り飯を食べて出発を待った.正午きっかりにゼッケン1番の選手から30秒ごとにスタートしたが,皆直後吹雪のなかに消えて行く.方向もわからず白い吹雪のなか,ただ下へ向かって飛び降りて行くが,完全盲目の独り滑降でやがて1,000m台の大きな雪庇に突きささると,そこから直ちに下界へ直降滑するのみで,スピード感も全くないが,徐々にコース脇の樹木がポツポツ目に入る様になり,方向とスピードとをやっと実感できるようになった.
頂上は樹一本なく白一色の猛吹雪で,役員達は完全装備で掘った雪洞の中,ウイスキーの角瓶を口にしながらゴールと電話で連絡を取り頑張っていた.われわれもその辺りで冷たい握り飯を食べて出発を待った.正午きっかりにゼッケン1番の選手から30秒ごとにスタートしたが,皆直後吹雪のなかに消えて行く.方向もわからず白い吹雪のなか,ただ下へ向かって飛び降りて行くが,完全盲目の独り滑降でやがて1,000m台の大きな雪庇に突きささると,そこから直ちに下界へ直降滑するのみで,スピード感も全くないが,徐々にコース脇の樹木がポツポツ目に入る様になり,方向とスピードとをやっと実感できるようになった.
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