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肥満および2型糖尿病の血清vaspin濃度
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.635 - P.635
文献購入ページに移動 Vaspin(visceral adipose tissue-derived serpin)はインスリン鋭敏効果を有するアディポカインと見なされ,2型糖尿病のラットモデルにおいては内臓脂肪組織から主に分泌されている.著者らは最近脂肪組織のvaspin mRNA発現が肥満とグルコース代謝のパラメーターに関係があることを示した.しかし,ヒトの肥満および2型糖尿病における血清vaspin濃度の調節については不明であるので,この点について検討した.血清vaspinの測定はELISA法を開発し,これにより広範囲の肥満,体脂肪分布,インスリン感受性,グルコース耐性を有する187人の横断研究および4週間の身体トレーニング前後の正常グルコース耐性者(NGT),異常グルコース耐性者(IGT),2型糖尿病者の60人における循環vaspin濃度を評価した.血清vaspin濃度は男性に比べて女性で有意に高値であり,NGTと2型糖尿病者間に有意差は認められなかった.NGTにおける血清vaspin濃度はBMIおよびインスリン感受性と相関していた.さらに,4週間の身体トレーニングは血清vaspinの有意な増加をもたらした.高血清vaspin濃度は肥満およびインスリン感受性の悪化と関係があり,低血清vaspin濃度は健康状態の良好さと相関していた.
参考文献
Youn BS, Klöting N, Kratzsch J, et al:Serum vaspin concentrations in human obesity and type 2 diabetes. Diabetes 57:372-377, 2008
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