文献概要
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は世界的な公衆衛生問題であり,特に細気道においてムチン産生増加を伴う,進行性の呼吸困難により特徴づけられる.アクロレインはタバコ煙の成分で酸化ストレスの媒介物質であり,気道ムチン5,subtype A,C(MUC5AC)産生を増加させる.しかし,そのメカニズムは不明である.著者らの研究では,アクロレイン暴露マウスにおけるmMUC5ACの転写物と蛋白質の増加は肺マトリックスの金属プロテイナーゼ9(mMMP9)の転写物,蛋白質および活性の増加と関係していた.mMUC5ACの転写物およびムチン蛋白質の増加はEGFR(epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)インヒビターで処理したマウスでは縮小した.アクロレインも金属プロテイナーゼ蛋白質3のインヒビター(MMP9インヒビター)転写物レベルを減少させた.また,アクロレインはCOPD患者の痰中に見られる濃度でpro-hMMP9の開裂および活性を増加させた.アクロレインはヒト気道細胞におけるhMMP9転写物を増加させたが,これはMMPインヒビター,EGFR中和抗体などにより阻害された.hMMP9活性の増加は持続的な過剰なムチン産生に関与すると考えられる.
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