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乾燥血液スポットにおけるサクシニルアセトン,アミノ酸およびアシルカルニチンの組み合わせ新生児スクリーニング
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.886 - P.886
文献購入ページに移動 1型チロシン血症(tyrosinemia type 1;TYR1)は未治療であれば早期死を引き起こす.この疾患の新生児スクリーニング(newborn screening;NBS)は診断マーカーのサクシニルアセトン(succinylacetone;SUAC)分析の問題から疑わしい.著者らはフローインジェクション質量分析装置による乾燥血液スポット(dried blood spots;DBS)においてアシルカルニチン(acylcarnitine;AC),アミノ酸およびSUACを同時定量する新規分析法を開発した.アミノ酸とACはアイソトープラベルしたアミノ酸およびAC内部標準物質を含むメタノール0.3mlでDBS切片から抽出し,ブタノール/塩酸で誘導化した.SUACは濾紙残留物からアイソトープラベルしたSUAC内部標準物質を含むヒドラジン溶液0.1mlで抽出した.これらの抽出物を質量分析装置で測定した.分析時間は1~2分であった.SUACはTYR1患者11人の過去のNBS試料で増加していた(13~81μmol/l).対照13,521例のDBSにおけるSUAC平均濃度は1.25μmol/lであった.アミノ酸およびACの日常分析へのSUAC分析の導入により偽陰性の危険率のない,迅速で経済的なTYR1のスクリーニングが可能になる.
参考文献
Turgeon C, Magera MJ, Allard P, et al:Combined newborn screening for succinylacetone, amino acids, and acylcarnitines in dried spots. Clin Chem 54:657-664, 2008
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