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脳脊髄液におけるモノアミン神経伝達物質代謝産物分析の臨床的有用性
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.946 - P.946
文献購入ページに移動 血漿や尿のモノアミン神経伝達物質およびその代謝産物の測定は,通常神経芽細胞腫・褐色細胞腫の検出やモニター,低血圧症・高血圧症の評価に用いられている.これらの物質の測定は中枢神経系に影響する疾患の研究だけでなく,脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF)で測定されるときにも役立つ.著者はセロトニンおよびカテコールアミン代謝に影響する一次的・二次的欠乏におけるモノアミン代謝産物のCSF像について研究した.代謝産物の分析は電気泳動法,HPLC(high-performance liquid chromatography)法,質量分析法などで行った.CSFのモノアミン代謝産物の測定値は,脳内モノアミン神経伝達物質の全代謝回転の瞬間値を示すだけである.これらの測定は全脳領域および脊髄内で起こる局部的な変化により蓄積された平均濃度を反映しているため,特定の脳領域や短時間あるいは日周期的に起こる変化における微細な異常を捉えられない.明確に定義され診断される疾患は一般に合成および異化経路に影響する疾患に限定されている.多くの症例でモノアミン代謝産物濃度の異常がCSFで見いだされた.
参考文献
Hyland K:Clinical utility of monoamine neurotransmitter metabolite analysis in cerebrospinal fluid. Clin Chem 54:633-641, 2008
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