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シリーズ最新医学講座・Ⅰ 糖鎖と臨床検査・9
糖鎖認識の自然免疫レセプター
著者: 瀬谷司1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科免疫学分野
ページ範囲:P.1045 - P.1049
文献購入ページに移動自然免疫系は基本的に微生物の「パターン分子」を検知するレセプター群によって特徴づけられる非自己認識応答系である1).抗原が原則的に蛋白質断片(ペプチド)であるのに対して,パターン分子は糖鎖,脂質を主体とする.これらを認識するレセプターをパターン認識レセプターと呼び,単独でも抗原と一緒でも炎症を強く惹起する.感染症で抗原提示が亢進するのは,微生物のパターン分子による自然免疫の活性化(炎症)がベースにあって,微生物抗原が提示されるためである.抗原に対するリンパ球応答を獲得免疫と呼ぶ.獲得免疫は自然免疫,例えば樹状細胞のパターン認識レセプター(Toll-like receptor;TLRなど)の刺激があって初めて強く活性化される2).自然免疫の活性化を欠く抗原提示の典型例は癌にみられる.癌は抗原を持つがパターン分子を欠くために免疫系を回避しうる.本総説では,糖鎖を認識するパターン認識レセプターを主に解説する.
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