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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻1号

2009年01月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 死亡時医学検査・1

死亡時医学検索の概略

著者: 清水一範1 江澤英史2

所属機関: 1放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院臨床検査室 2放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院病理

ページ範囲:P.117 - P.122

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はじめに

 死亡時医学検索と聞いて即座に頭に浮かぶ単語は「解剖」であろう.「解剖」は,死後検査として古来より確立された検査方法であり,その診断結果は絶対的な威厳を持つ.しかしながら解剖は,侵襲性である,拘束時間が長い,解剖専門医不足などの問題により実施件数は減少の一途をたどっている.2007年の厚生労働省の統計では,解剖率は2.7%にまで低下している.これでは死者の四十人に一人しか解剖されていないことになる.一方,近年の画像診断の急速な進歩により,画像診断装置を使った死後検査が可能となった.死亡時画像診断と言われる「オートプシー・イメージング(autopsy imaging;Ai)」がそれに当たる.死亡時画像診断は,非侵襲性である,拘束時間が短い,画像診断医のみならず臨床医でも実施が可能などの点で「解剖」を凌駕している.Aiの出現により死亡時医学検索は複数のアイテムを持つこととなった.これにより死亡時医学検索の精度や実施能力,適応範囲が大幅に拡大することとなる.死亡時医学検索は,今大きく変わろうとしている.

参考文献

1) 江澤英史:画像診断と死亡時医学検索「画像診断と死亡時医学検索シリーズ-1」.モダンメディア 53:213-216,2007
2) 江澤英史:既存の剖検概論.オートプシー・イメージング―画像解剖,文光堂,pp6-9,2004
3) 江澤英史:解剖を行う意義.100万人のオートプシー・イメージング(Ai)入門,篠原出版新社,p19,2005
4) Bajaj R:The conventional autopsy still has an important role in modern medicine.〈http://www.pathsoc.org.uk/files/grants/essay/essay2006.pdf/〉
5) 共同通信:CT診断で死因特定3割 千葉大,解剖と比較調査.2008年9月20日
6) Ezawa H, Yoneyama R, Kandatsu, et al:Introduction of autopsy imaging redefines the concept of autopsy:37 cases of clinical experience. Pathology International 53:865-873, 2003
7) 尾崎 梓,大橋教良,中田義隆,他:筑波科学博における観客と従業員の救急疾患およびその医療体制.日本医事新報 3244:27-31,1986
8) 大橋教良:DOAの原因疾患の診断(死亡後CT撮影の有用性と問題点について).日本救急医学会関東地方会雑誌 10:604-605,1989
9) メディカルトリビューン:第3回オートプシー・イメージング学会~全国救命救急センターアンケート~9割の施設が死後画像撮影の経験あり.〈http://www.medical-tribune.co.jp/mtbackno9/3910/10hp/M3910141.htm〉
10) 北米放射線学会プレスリリース:Forensic radiology makes virtual autopsy a reality.〈http://rsna2003.rsna.org/rsna2003/VBK/press.cvn?id=11&p_id=182/〉
11) 塩谷清司,山本正二:Highlights on special focus sessions:Virtual autopsy. Views Radiology 8:49-59, 2006
12) Yamamoto S, Shimofusa R, Horikoshi T, et al:Autopsy imaging (Ai) _the new autopsy system which took in imaging technology by using multi detector computed tomography (MDCT). ISALM 2008:28, 2008.〈http://www.convention-j.com/isalm2008/files/program.pdf〉
13) オートプシー・イメージング学会ホームページ:Ai認定施設.〈http://plaza.umin.ac.jp/~ai-ai/shisetu.htm〉
14) メディカルトリビューン:千葉大学病院がAiをシステム化―死後画像診断導入で病理解剖の停滞打開へ.〈http://www.medical-tribune.co.jp/mtbackno9/3904/04hp/M3904391.htm〉
15) 産経新聞:死因究明を迅速化 群大がCTの専用施設を本格運用.2008年9月6日
16) IHE-Jホームページ:IHE入門―中級編.〈http://www.ihe-j.org/file2/about/CB07_SC2_MiniTheater_02.pdf〉
17) 清水一範,本村真理,江澤英史:オートプシー・イメージングの現状.検査と技術 36:1270-1273,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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