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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻10号

2009年10月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 死亡時医学検査・9

肉眼解剖学教室での死亡時医学検索の確立

著者: 松野義晴1 森千里1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院環境生命医学

ページ範囲:P.1197 - P.1202

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はじめに

 昨今,“死亡時医学検索”は,“検視・検案”,死亡時画像診断といわれる「オートプシー・イメージング(autopsy imaging;Ai)といった非浸襲性の検査と,“血液・生化学的検査”および“解剖”といった浸襲性の検査を用い死因究明を行う新たな概念として確立されてきました1).すでに,これまでの連載によって,死亡時画像診断であるAiの活用が,死因のスクーリングに対する有用なツールであることが,法医学などの領域によって紹介されています2~7)

 今回は,人体の正常な構造を三次元的に理解する肉眼解剖学教育(以下,解剖学教育)に対するAi活用の有効性について,①医学部の必修科目“解剖学教育”の現状,②肉眼解剖実習へのCT画像三次元再構築データ供覧システムの導入背景,③解剖前(死亡後)CT画像撮影の許可を求めて,④肉眼解剖実習へのCT画像三次元再構築データ供覧システムの活用とその成果,⑤CT画像三次元再構築データ供覧システムにより期待される効果の5点に主眼をおき説明します.なかでも,読者の皆様に解剖学教育を取り巻く現状を十分に理解いただくために,解剖学教育の現状とCT画像撮影の導入背景,さらにCT画像撮影に提供いただく献体(note参照)について詳述させていただきます.

参考文献

1) 清水一範,江澤英史:死亡時医学検索の概略.臨床検査 53:117-122,2009
2) 山本正二:死亡時画像(Ai)とAiセンター.臨床検査 53:221-230,2009
3) 塩谷清司,河野元嗣,菊池和徳,他:死亡時画像(Ai)とCT.臨床検査 53:363-367,2009
4) 神立進,岸本理和:死亡時画像(Ai)とMRI.臨床検査 53:489-494,2009
5) 内ヶ作西作:死亡時画像(Ai)と超音波.臨床検査 53:629-635,2009
6) 早川秀幸:外表検査でわかること.臨床検査 53:731-736,2009
7) 池田典昭:司法解剖,法医鑑定における死後画像検査の役割.臨床検査 53:835-839,2009
8) 松野義晴,山本正二,宮宗秀伸,他:肉眼解剖実習に提供される解剖体のCT画像撮影の試みと期待される教育効果.千葉医学雑誌 85:印刷中(10月発行予定),2009
9) 松野義晴,川端由香,小宮山政敏,他:医学研究遂行に関する事務手続きの改訂~千葉大学の献体手続き改訂実施要領~.解剖学雑誌 77:17-20,2002
10) 松野義晴,門田朋子,小宮山政敏,他.千葉大学の生前医学研究承諾に関する報告.解剖学雑誌 78:19-21,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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