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今月の主題 前立腺癌 トピックス
前癌病変
著者: 瀬川篤記1 小山徹也2
所属機関: 1獨協医科大学病理学 2群馬大学大学院病理診断学
ページ範囲:P.1697 - P.1700
文献購入ページに移動これまでに前立腺癌の前癌病変として可能性を論じられた病変は,前立腺上皮内腫瘍(prostatic intraepithelial neoplasia;PIN),腺症(adenosis)ないし異型腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia;AAH),異型小型腺房増殖(atypical small acinar proliferation;ASAP)などがあり,それぞれに,過去に用いられたり現在も通用する同義語が存在する(表).研究の進展に伴い,現在では高度前立腺上皮内腫瘍(high-grade prostatic intraepithelial neoplasia;HGPIN)のみを前立腺癌の前癌病変とみなす傾向にある.WHOもその立場をとっており,2002年のWHO分類,いわゆるblue bookでは,軽度前立腺上皮内腫瘍(low-grade intraepithelial neoplasia;LGPIN)をatypical hyperplasiaと改称して前癌病変から除外し,HGPINを単にPINと呼んで,病理組織診断に記載すべき唯一の前癌病変と定義した1).この立場はWHO規約の最新版である2004年の“Pathology & Genetics”にも,基本的に踏襲されている2).一方ASAPは,前癌病変とは必ずしもいえないが,前立腺癌のリスク増大因子としての意義はHGPINと同様に高く3),病理組織学的あるいは臨床的に重要である.
本稿ではHGPINについて主に述べ,ほかの病変についてはHGPINと比較検討しながら適宜解説する
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