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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻13号

2009年12月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 死亡時医学検査・10

遺体画像―剖検対比(cadaver imaging-autopsy correlation)

著者: 岡輝明1 深谷信義1 天野淳2 松田諭2 服部英行2

所属機関: 1公立学校共済組合関東中央病院病理科 2公立学校共済組合関東中央病院放射線科

ページ範囲:P.1705 - P.1710

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はじめに

 画像診断の進歩はめざましい.単純X線写真や断層写真を苦心して読影していた時代から高精細CTやMRIを自由に使いこなせる時代になり,さらに精密な画像へ,高速に,機能検査もと,様々な要求に応えてその進歩は日進月歩である.いまや細胞の輪郭すら見えるようになってきている.

 現在,医療の現場で画像(診断)は日常的に欠くことができないツールであるが,医学以外のフィールド,例えば考古学や古病理学の領域でも画像診断の機器は多いに活用されている.ツタンカーメン(トゥトアンクアメン)王やアイスマンこと「オッツィー」のミイラがCT撮影され,その内部構造の解析や死亡原因の推測に利用されていることはよく知られている.また,法隆寺の聖徳太子像調査に先立ってX線写真撮影を行ったところ,胎内仏である救世観音がくっきりと写っていた.乱世にその姿を顕すとされる観音である.この秘仏を作りあげた仏師がその写真を見たら,さぞかし驚くであろう.

 テレビドラマや映画でも,犯罪捜査に画像所見が有力な手がかりを与えるシーンがしばしば出てくる.まるで魔法を使ったかのように事件解決にいたるさまは痛快でインパクトがあり,画像の威力をわかりやすく伝えてくれる.しかし,いつでも,すべてのことがたちどころにわかるのであろうか? 現実はドラマのようにはゆくまい.ドラマはあくまでドラマである.画像でわかることもあるがわからないことも同じだけ,あるいはそれ以上にあるのではないかと思う.

 遺体の画像撮影は古くから行われてきたが,2000年ころから遺体のCT撮影が注目されるようになった.本稿ではこのような背景を踏まえて,遺体画像と剖検臓器所見の対比の意義について概説する.

参考文献

1) 岡輝明:呼吸器疾患の病理像と画像肺の実体顕微鏡観察による病理―画像対比の実践.臨床放射線 52:23-34, 2007
2) 江沢英史,米山隆一,神立進,他:Autopsy imaging(AI)―新しい剖検概念を目指して―.病理と臨床 20:633-641, 2002
3) 岡輝明,天野淳,松田諭,他:関東中央病院における死体画像―剖検相関の実際:4症例の供覧と実施における問題点.オートプシー・イメージング学会会誌 2:10, 2005
4) 岡輝明:Post-mortem imaging(autopsy imaging, 死後画像―剖検対比)の実践.日本病理学会誌 94:388, 2005
5) 岡輝明:死後画像(post mortem imaging, PMI)―剖検対比を実施した1剖検例.日本病理学会会誌 95:375, 2006
6) 岡輝明,深谷信義,天野淳,他:死後画像(PMI)―剖検対比.日本胸部臨床 67:S222-S227, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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