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今月の主題 免疫不全症候群と遺伝子異常 話題
高IgE症候群
著者: 峯岸克行1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学
ページ範囲:P.611 - P.614
文献購入ページに移動高IgE症候群(hyper-immunoglobulin E syndrome, Hyper-IgE syndrome;HIES)は,別名Job's syndromeと呼ばれる先天性免疫不全症候群である.第1例は1966年にDavisとWedgewoodらによって報告された.Job(ヨブ)の名前は,全身性で反復性のブドウ球菌感染症による寒冷膿瘍(cold abscess;膿の蓄積を認めるのに,発赤・熱感・疼痛などの炎症症状を欠く膿瘍)が,旧約聖書のヨブが神から受けた肉体的試練の記載に類似していることに由来する1).その後,1972年にBuckleyらは,同様の寒冷膿瘍を発症した女児に,顔貌異常と著しい高IgE血症が合併していたことを報告し,このためBuckley症候群と呼ばれることもある2).1999年にGrimbacher,Puckらは皮膚,肺の膿瘍と高IgE血症などのアレルギー症状に加えて,骨・歯牙の異常が多くの症例に合併していることを報告し,高IgE症候群が免疫系だけではなく骨,軟部組織,歯牙の異常を含めた多系統の疾患(multisystem disease)であるとの本症候群の重要な概念を確立した3).その原因遺伝子は多くの研究にもかかわらず長い間不明であったが,高IgE症候群の症状に,細胞内寄生細菌とヘルペスウイルスに対する易感染性を合併する症例の原因遺伝子が,Jakファミリーチロシンキナーゼ
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