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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻6号

2009年06月発行

文献概要

今月の主題 食中毒 話題

バクテリオファージによる大腸菌O157:H7の同定

著者: 丹治保典1

所属機関: 1東京工業大学大学院生命理工学研究科

ページ範囲:P.713 - P.716

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1.はじめに

 1996年夏,大阪府堺市で大腸菌O157:H7(以降O157と略記)による集団食中毒が発生し,約8,000人の患者と3人の死者が報告された.当初は原因食材としてカイワレ大根が疑われ,大きな風評被害をもたらしたが,結局発生源を特定するまでには至らなかった.患者に対する適切な治療と発生源を特定するためには,迅速な病原体の同定が必須である.しかし,培養を必要とする公定法は菌体の同定に3日間以上を要する.そこで,細菌に感染するウイルス(バクテリオファージ,またはファージ)の機能をうまく利用し,O157を迅速に検出する方法を開発したので報告する.

参考文献

1) Leiman PG, Kostyuchenko VA, Shneider MM, et al:Structure of bacteriophage T4 gene product 11, the interface between the baseplate and short tail fibers. J Mol Biol 301:975-985, 2000
O157:H7 and analysis of its cellular receptor and two tail fiber genes. FEMS Microbiol Lett 211:77-83, 2002
O157:H7. FEMS Microbiol Lett 216:243-248, 2002
O157:H7 by using green fluorescent protein-labeled PP01 bacteriophage. Apple Environ Microbiol 70:527-534, 2004
detection by GFP-labeled lysozyme-inactivated T4 bacteriophage. J Biotechnol 114:11-20, 2004
6) 特許第4235718号,大腸菌の検出方法及び大腸菌検出用ファージ
O157:H7. Biotechnol Prog 22:853-859, 2006
8) http://www.nih.go.jp/niid/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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