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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻6号

2009年06月発行

文献概要

今月の主題 食中毒 話題

電子線滅菌

著者: 田村直幸1

所属機関: 1NPO法人放射線教育フォーラム

ページ範囲:P.727 - P.730

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1.はじめに

 放射線による殺菌は,放射線の電離作用によって微生物のDNA鎖を直接切断する直接作用か,周囲の水分子に発生した活性の高いOHラジカルによってDNAに損傷を与える間接作用によって起こるとされている.

 現在医療機器の滅菌に使用できる放射線としては,ガンマ線,電子線,制動X線があるが,実用的には60Co線源からのガンマ線と電子加速器からの電子線が利用されている.制動X線は電子加速器からの電子線を原子番号の大きい金属に照射して生成されるが,変換効率が低いことなどもあって国内では実用的には試験段階にある.

 ガンマ線,電子線による滅菌施設は試料のどこにでも放射線が確実に透過して殺菌するなど多くの利点があることから,建設費が高いのにもかかわらず現在まで多くの施設が国内各所に設置され,従来の酸化エチレンガス(EOG)滅菌,高圧蒸気滅菌に対して,滅菌バリデーションが容易という特長のある滅菌法としてその地位を占めるようになった.放射線滅菌の中でも,電子線滅菌は,5~10MeV高エネルギー大電流の加速器の出現などもあって滅菌法の地位を確立しつつある.

参考文献

1) 山瀬豊:照射滅菌に関する国内及び国外の規格動向について.防菌防黴誌 35:25-30, 2007
2) 千代島輝明,梅津透,Jean-Louis Bol:大出力電子加速器 ロードトロンの利用状況および展望について.放射線と産業 117:35-40, 2008
3) Tamura N, Tanaka R, Mitomo S, et al:Properties of Cellulose Triacetate Dose Meter. Radiat Phys Chem 18:947-956, 1981
4) 日本工業規格JISZ4571アラニン線量計測装置.2001
5) 田中隆一:最新調査による放射線利用の経済規模I工業利用分野.放射線と産業 120:35-39, 2008
6) 渋谷工業プレスリリース:PETボトル無菌充填システムの開発.2006年9月25日

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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