文献詳細
文献概要
随筆・紀行
血潮の流れ
著者: 屋形稔1
所属機関: 1新潟大学
ページ範囲:P.712 - P.712
文献購入ページに移動 年頭の5日間を皇居が間近に見える帝都のホテルで過ごした.白く聳えるお城と対称的に静かなお堀が心落ちつく風景であった.ただ隣接した森に囲まれた日比谷公園は,不況の波で職や家を失う破目になった人々が仮の食と住を提供されて集まってきており,平和の中に波瀾含みの新年の雰囲気を醸していた.
戦後60年以上が流れたが,戦争を経験したわれわれ世代にとって忘れられないここの風景は,敗戦後暫くこの広場に続々と集まり,皇居に向って平伏していた多くの日本人の姿である.廃墟と化した帝都と共に目に灼きつけられて残っている.
戦後60年以上が流れたが,戦争を経験したわれわれ世代にとって忘れられないここの風景は,敗戦後暫くこの広場に続々と集まり,皇居に向って平伏していた多くの日本人の姿である.廃墟と化した帝都と共に目に灼きつけられて残っている.
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