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今月の主題 漢方薬・生薬と臨床検査 総説
漢方薬・生薬の本当の効き目とは
著者: 津谷喜一郎1
所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学
ページ範囲:P.863 - P.871
文献購入ページに移動 「漢方は本当に効くのか?」という質問に答える日本東洋医学会の3つの活動を紹介した.「エビデンスレポート」はエビデンスのグレードの高いランダム化比較試験を320件同定し,コメント付きの構造化抄録を作成した.「漢方製剤と診療ガイドライン」は診療ガイドラインから漢方製剤を含む36件を選び,診療ガイドラインとしての質で3段階に分けて示した.「ベストケース」は「劇的」(dramatic)に「効いた」症例を集めるものである.これら3つの活動はエビデンスを「つたえる」ものである.
参考文献
1) 津谷喜一郎:集団に効くことと個人に効くこと―「効き目」のコミュニケーション―.日本東洋医学雑誌 48:569-598,1998
2) フォーラム「漢方のエビデンスを『つくる』」.第60回日本東京医学会学術総会講演要旨集.日本東洋医学会雑誌第36(別冊);p159-172,2009
3) 津谷喜一郎:伝統薬の比較試験の歴史と現状.医学のあゆみ 132:103-106,1985
4) 津谷喜一郎:高橋晄正の時代とEBMの時代の違い.全日本鍼灸学会雑誌 50:403-404,2000
5) 津谷喜一郎,荒木里美:「中薬のランダム化比較試験の報告に関するCONSORT声明」の解説,臨床研究と疫学研究のための国際ルール集(中山健夫,津谷喜一郎編),ライフサイエンス出版,pp164-169,2008
6) 平成20年度厚生労働科学研究費補助金・医薬品・医療機器等レギュラとリーサイエンス総合研究事業「薬害肝炎の検証及び再発防止に関する研究」(主任研究者:堀内龍也)中間報告書,p180,p207,2009 [http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0327-12a.pdf]
7) 鶴岡浩樹,岡部哲郎,津谷喜一郎:漢方薬RCTの構造化抄録におけるコメント記載の改善.日本東洋医学雑誌,60:177-184,2009
8) ランダム化比較試験報告のためのCONSORT声明改訂版―解説と詳細,臨床研究と疫学研究のための国際ルール集(中山健夫,津谷喜一郎編),ライフサイエンス出版,pp68-104,2008
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