文献詳細
学会だより 第98回日本病理学会総会
様々な立場で考える「医療関連死に対する病理学・法医学の役割と医療のあり方」
著者: 坂田一美1
所属機関: 1川口市立医療センター検査科・病理検査部門
ページ範囲:P.961 - P.961
文献概要
前半は「医療関連死における病理および法医の立場から」の話でした.現在,「医療事故の発生予防・再発防止」およびその透明性を高めるためにモデル事業(2005~2010年)が行われています.これは内科学会を中心に37学会の協力を得て,10都道府県で展開され,現在ホームページ(URL=http://www.med-model.jp/jigyou.html)上に57事例が掲載されています.しかしこのモデル事業の実施に伴い,「少ない病理医と法医医師」の問題が浮き出てきました.また,病理と法医が連動した形での医師教育が重要な課題となっていることも合わせて報告されました.病理解剖自体が減少しており,若い病理医自身の解剖経験が少なくなってきており,若い病理医にも臨床経過との相関を常に確認しながら診断することの重要性を十分指導しなければなりません.病理と法医の連携がすぐにとれて,解剖したいときに解剖できる体制を整備し,真相究明と公開性,公正性,中立性,迅速さといったニーズに答えていくことが求められています.
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