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雑誌詳細

文献概要

シリーズ-検査値異常と薬剤・1

薬剤投与が臨床検査値に影響を及ぼす作用

著者: 片山善章1

所属機関: 1神戸常盤大学保健科学部医療検査学

ページ範囲:P.209 - P.212

はじめに

 今日の医療において臨床検査は診断・治療方針の決定になくてはならないことは,誰もが認めている事実であるが,その臨床検査値は正確度,精密度が保証されていなければならない.しかし臨床検査値の正確度,精密度は図に示すように各種要因により変動する.これらの変動要因は各種問題がある.検査試料については,採取時の被験者の条件,採取法,処理法,保存法.試薬・標準品については,その品質,調製,保存.測定法の選択は特異性,再現性.測定環境条件は光,温度.計測機器の精度.器具の材質や清浄度.分析操作技術は技術者の技量などである.

 これらの要因をクリアして正確性・精密性の保証された検査値が得られるが,検査室では「検査試料」がどのような条件であったものかは不明であることが多い.検査試料は検査以前の問題として,被検者の条件,検査試料の採取と保存などの取扱い方によっては検査値に誤差が生じて正しい検査値が得られなく,重大な誤りをおかすことになる.すなわち被検者の食事,運動,採血時の解糖阻止剤,抗凝固剤などの適切な選択,検査試料の経時変化,溶血,採血部位,採血時間,そして,最も重要な問題点は検査室側にとっては投薬にまつわる検査値への影響がある.また,投与薬剤が測定に物理的,化学的に干渉することも大きな問題点である.

参考文献

1) Young DS:Effects of Drugs on Clinical Laboratory Test, 5th Edition. VOLUME TWO Listing by Drug. AACC Press, Washington D.C., 1999
2) 財団法人日本医薬品情報センター(編):JAPIC医療用医薬品集2010.財団法人日本医薬品情報センター,2009
3) 小川雅史,宮部逸巳:臨床検査に影響を及ぼす可能性が考えられる医薬品についての情報.日水製薬株式会社,1984
4) 菅野剛史(編):医薬品の検査値に対する干渉.臨床と薬物治療 11:1992
5) 岩月和彦,渡邊泰秀(編):コメディカルのための薬理学.朝倉書店,2006

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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