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文献詳細

雑誌文献

臨床検査54巻5号

2010年05月発行

文献概要

今月の主題 薬剤耐性菌制御の最前線 各論 〈多剤耐性菌の検出とその意義〉

マクロライド耐性マイコプラズマ

著者: 成田光生1

所属機関: 1JR札幌病院小児科

ページ範囲:P.524 - P.528

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 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)には,その菌体内ではプラスミドのような外来の遺伝子が機能しない,リボソームのオペロンが1組しか存在しない,などの特徴がある.また,本菌は直接的な細胞傷害性は弱く,その疾患発症においては,細胞膜に含まれるリポ蛋白による炎症性サイトカインの誘導,あるいは細胞質に含まれる様々な物質による免疫の修飾など,宿主側の要因が強く関与している.したがって,適切な治療が行われなければ重症化するほかの病原体における薬剤耐性化とは様相が異なり,菌自体の薬剤抵抗性が必ずしも重症化には直結していない.本稿ではマイコプラズマの生物学的特性を踏まえたうえで,耐性菌問題について解説する.

参考文献

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5) 成田光生:薬剤耐性マイコプラズマの現状と今後.日本胸部臨床 67:580-590, 2008
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10) 成田光生:マイコプラズマにおけるブレイクポイントの考え方.日本マイコプラズマ学会雑誌 35:59-60, 2008
11) 成田光生:マイコプラズマ.小児科領域の臨床.化学療法の領域 26:35-40, 2010
12) 成田光生:マイコプラズマ感染症における発症機構に基づいた抗菌薬の使い方.Progress in Medicine 29:2457-2464, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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