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文献詳細

雑誌文献

臨床検査54巻5号

2010年05月発行

文献概要

シリーズ-検査値異常と薬剤・4

―臓器・組織に対する薬剤の影響―心臓,肺,脳および凝固線溶機能の治療薬の当該機能に対する副作用

著者: 片山善章1

所属機関: 1神戸常盤大学保健科学部医療検査学科

ページ範囲:P.553 - P.562

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はじめに

 投与された薬物は注射のように直接的あるいは消化器官から吸収され,肝臓を経て血中に入る.その後,標的器官・組織に到達し薬理作用を示す.大部分の薬物の代謝は肝臓で行われ,血液から腎臓を経由して尿へと排出される.また,一部は胆汁とともに消化管に分泌されて糞便中にも排泄される.したがって,ほとんどの薬物は肝機能,腎機能に障害を与える場合が多い.

 本シリーズ第一回「薬剤投与が臨床検査値に影響を及ぼす作用」で,①直接的な薬物の影響と,②間接的な薬剤の影響があり,後者は薬剤の本来もっている薬理作用あるいは副作用によって,生体内で検査の対象となる成分の濃度を変えてしまうことであるが,特に副作用により“薬剤の検査値への影響”が生じ,検査値が予期せぬ値として変動し,期待されない検査値が得られてしまうと述べた.

 今回の“心臓,肺,脳,血液凝固線溶機能に対する薬剤の影響”は後者のことを総論として述べることになるが,影響する薬剤は無作為に取り上げるのではなく,標記の機能を治療する薬剤を選択して,その副作用を中心に述べることにする.薬の副作用(有害作用)について述べるに当たって,薬剤の投与経路が影響するので,薬物の吸収,分布,代謝,排泄について簡単に触れておく必要がある.

参考文献

1) 栗山欣弥(監):コメディカルの薬理学,廣川書店,pp18,1996
2) 島田英世:薬学生のための臨床医学概論―代表的疾患のプロフィール―,廣川書店,2000
3) 財団法人日本医薬情報センター(編):JAPC医療用医薬品集2010,財団法人日本医薬情報センター,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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