icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査54巻6号

2010年06月発行

文献概要

今月の主題 注目されるサイトカイン 総論

サイトカインと免疫応答

著者: 吉村昭彦1 武藤剛1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部微生物学免疫学

ページ範囲:P.577 - P.584

文献購入ページに移動
 免疫応答には自然免疫と獲得免疫がある.自然免疫細胞は食作用などで殺菌を行うとともに,Toll-like-receptor(TLR)やRIG-Iファミリーなどの異物認識機構を介してサイトカインを産生して炎症を促進し,獲得免疫系のリンパ球の活性化,動員を行う.次に獲得免疫系(T細胞とB細胞)が活性化される.T細胞やB細胞は自然免疫系の細胞から抗原を受けとり,抗原に特異性のある細胞だけが増える.T細胞にはヘルパーT細胞(CD4)と細胞障害性T細胞(CTL,CD8)がいる.ヘルパーT細胞は免疫の司令塔といわれ,各種サイトカインを放出して,実行部隊であるB細胞,CTL,自然免疫系の細胞群を増員,活性化する.このような免疫応答は正と負のバランスが保たれて進行し恒常性が維持される.また免疫系の負の細胞やサイトカインは寛容と呼ばれる自己や特定の異物に応答しない状態を作り出す.これらの免疫応答とサイトカインの関係は現在精力的に研究され次第に全容が明らかにされてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?