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血液型判定キット(オーソ®バイオクローン®抗A,抗B)を用いた病理組織標本での血液型判定の試み
著者: 米亮祐1 岩知道伸久1 畠榮1 中桐逸郎2
所属機関: 1川崎医科大学附属病院病理部 2川崎医科大学附属病院中央検査部
ページ範囲:P.1087 - P.1088
文献購入ページに移動病理検査が関与する医療過誤で頻度が高くしかも重大な医療事故に発展しかねないのは,検体の取り違えである.1999年に不幸にも発生したある病院での手術患者取り違え事故1)を契機に,医療事故についての情報が急速に増加し続け,国をあげての事故防止対策の模索が始まった.しかし,翌年には同様の事例が他院でも発生している2).これらの患者誤認の多くは人為的なミスによるものが大半であり,中には病理検体の取り違えが原因になっているものも含まれている.これら病理検体の取り違えの発生を未然に防ぐシステムの構築が望まれるが,現在のところ完璧な方法は存在しない.そのため臨床経過と病理診断とが乖離した場合には,他標本からのコンタミネーションや検体の取り違えの可能性なども念頭におく必要があると思われる.
検体取り違えの確認方法の一つとして,上皮や赤血球に発現しているABO型やLewis型などの血液型物質を免疫組織学的手法(免疫染色)で証明することが推奨されている3~5).それら血液型物質に対する免疫組織化学用の抗体は,多くのメーカーから,研究用試薬として販売されているので,それらを利用するのが良いと思われる.しかし,それら抗体は高価であり,一般的な診断に用いられることが少ないなどの理由で,あらかじめ抗体を購入し準備している施設はあまり多くないと考える.
そこで,今回われわれは,輸血検査部門で,ごく一般的に日常検査で血液型の判定に使用されている血液型検出キット(オーソ®バイオクローン®抗A,抗B)を免疫染色の1次抗体として用い,組織標本上での血液型判定を試みた.
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