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文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻11号

2011年10月発行

文献概要

特集 ここまでわかった自己免疫疾患 各論 4.そのほかの自己免疫疾患

1) 自己免疫性溶血性貧血

著者: 別所正美1

所属機関: 1埼玉医科大学血液内科

ページ範囲:P.1206 - P.1211

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自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の代表疾患である温式抗体によるAIHAは,赤血球膜のRhポリペプチドあるいはバンド3蛋白に対する特異的な自己抗体が産生されることによって発症する.自己抗体の大部分はIgGであり,IgGの結合した赤血球は,脾のマクロファージにより貪食される(血管外溶血).自己の赤血球抗原に対する免疫寛容が破綻して自己抗体が産生される機序には,いくつかの仮説が提唱されている.診断にはCoombs試験が有用であるが,赤血球に結合しているIgG分子数が少なく,通常の試験では陰性を呈するCoombs陰性AIHAの存在も知られている.治療の第1選択は副腎皮質ステロイドであるが,多くは慢性の経過をたどり,軽快,悪化を反復しやすい.

参考文献

1) 亀崎豊実,梶井英治:自己免疫性溶血性貧血の病態と診断.臨血 49:1322-1329,2008
2) Fagiolo E : Immunological tolerance loss vs. erythrocyte self antigens and cytokine network disregulation in autoimmune hemolytic anaemia. Autoimmune Rev 3:53-59,2004
3) Toriani-Terenzi C, Fagiolo E : IL-10 and the cytokine network in the pathogenesis of human autoimmune hemolytic anemia. Ann N Y Acad Sci 1051:29-44,2005
4) Packman CH : Hemolytic anemia due to warm autoantibodies. Clin Adv Hematol Oncol 6:739-741,2008
5) Lechner K, Jager U : How I treat antoimmune hemolytic anemias in adults. Blood 116:1831-1839,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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