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文献詳細

雑誌文献

臨床検査55巻12号

2011年11月発行

文献概要

今月の主題 子宮頸癌の予防と検査 各論 〈検査手技・判定の実際〉

細胞診―HPV感染細胞

著者: 九島巳樹1

所属機関: 1昭和大学病院病理診断科

ページ範囲:P.1425 - P.1428

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コイロサイト以外にも,HPV感染細胞の特徴には錯角化・異角化,スマッジ核,二核・多核細胞,巨細胞などがある.個々の細胞所見について述べたが,コイロサイトを除けば,単独でHPV感染に特異的な所見はなく,また細胞標本上では本来その細胞がHPV感染により変化しているか不明である.したがって種々のHPV-DNA検査によりHPV-DNA陽性とされた症例で細胞標本上に認められる頻度などが検討されてきている.子宮頸部扁平上皮異常の細胞診はコイロサイトを含め,HPV感染に特徴的とされる所見の組み合わせやHPV-DNA検査の併用により行うことが望まれる.病変の有無,予後の予測などに役立つ可能性があり,また,そのような所見がみられた場合には慎重な追跡管理が望まれる.HPV感染による細胞所見の理解にはHPV検査,コルポスコピーあるいは生検組織診断との比較が必要である.

参考文献

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2) 岩坂剛:各臓器の細胞診―子宮頸部 病理と臨 20(増刊):165-180,2002
3) 南敦子:婦人科領域の細胞診.細胞診を学ぶ人のために(坂本穆彦編),医学書院,pp124-153,2005
4) Meisels A, Morin C(著),高濱素秀,杉下匡(訳):子宮頸部細胞病理学―婦人科細胞診の実際,医歯薬出版,pp73-117,1994
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6) Boras VF, Duggan MA : Cervical dyskeratotic cells as predictors of condylomatous changes on biopsy. Acta Cytol 33:223-227,1989
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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